バレンタインのトラウマ

世の中バレンタイン一色。
そうでもないか。
ハロウィンの方が盛り上がってる気がする。

毎年、お店の男性スタッフに心ばかりのチョコを渡す。

今まで色んな所で働いて来たけど、義理チョコをどうするかは、その職場によって違う。
今の職場は、渡したい人は渡す。
手作りのチョコを作って来て、一人一人に渡すマメな女子も居れば、誰にも渡さない割り切った子も居る。

あたしは年に一度の男性スタッフに感謝を伝える日と思って、一人一人に渡している。
「お返しはホンマにいらんからね。」と念押しして、350円~500円くらいの面白チョコを渡して来たけど、結局真面目な男性スタッフばかりなので、全員がホワイトデーにお返しをくれる。
奥さんに用意してもらうにしても、自分で買ってきてくれるにしても、多分女子がチョコを選ぶのとは違って、結構面倒くさかったり、気が重いんちがうねんやろか?
しかもあたしがあげたのより明らかに高いチョコを返してくれるのだ。

2~3年これを繰り返して、結局お返しもらうんなら、もうちょっとちゃんとしたのを渡そうとなって、伊勢丹や大丸で買うようになった。
6000円~7000円くらいの出費になる。
正直洋服一枚買えるな。と思ったりもするけど、あたしはいつも指示する立場なので、〝いつも偉そうでゴメンね〟の気持ちも込みなので、これはこれで良いと思ってる。

いつもありがとう!男子諸君!
もうちょっと、優先順位をしっかり考えて仕事してくれると、尚良し。
あ、これが偉そうなんか。

俗に言う〝本命チョコ〟を渡したのは人生で2回だけ。
しかもその2回共玉砕している。
「もう二度とバレンタインにチョコなんか渡さへん。」って、誓ったなぁ。

強烈に覚えてるのは中学2年の時。
大好きだった野球部のS君。
でもS君には彼女が居た。
それでも好きで。
あたしは相手に彼女が居たら、告白するとかは考えられないタイプ。
でもこの時仲良かった友達が、好きなら伝えなきゃと、やいのやいの言ってきて、それが「あいつお前の事好きなんやってよ。」式にS君に伝わってしまった。
もうこの時点であたしは恥ずかしくて仕方ない。
でもあたし以上に熱が入ってしまった友達に背中を押されと言うか、蹴られて渡す決心をした。
でも当日、その気配を察したS君は、自転車でダッシュで帰ろうとしたのだ。
あたしはその姿を見て、あーもう終わったと思った。
そしてあたしも帰ろうとしたのに、なんと友達がS君を猛ダッシュで追い掛けて捕まえて、「〇〇ちゃん、早よ早よぉ~!」って大声で叫んだのだ。
『なんでそんな事すんのっ!』とは勿論言えず。
本当に心底嫌そうな顔してるS君に渡したのだ。
地獄やった…。
あの時のS君の顔、今でもハッキリ覚えてる。
そしてこの時の心の傷は完璧なトラウマになった。

あたしに強烈なトラウマを植え付けたS君は、地元のあるお店の娘さんと付き合って、なんと婿養子に入った。
婿養子に入るなら、あたしで良かったやん!って性懲りもなく思ったりしたなぁ~。
だって、そのお店の娘さん、むっちゃ地味な〝え?その娘行く?〟って感じの女の子やってんもん。
余計負けた気がしたわ。

でもな、S君。
お店の玄関に、梱包解いた後の段ボールを積んでおくのはどうかと思うで。
玄関ってお客様迎える入り口なんやから。
玄関、大事よ。
なんかやる気なさそうなんよなぁ~。
ま、別にあたしに関係ない事なんやけど。

今は気楽なもんである。
結局、自分へのご褒美チョコが一番高い。
ま、いいのだ。
美味しいチョコを食べる理由なんてなんでも。

所詮、バレンタインなんてチョコレート会社の陰謀やもん。
そーなんだもん。

あ~、オチが見付からん。

終わり。