『胡暮ちゃん』

すまたんツイート採用 7回目。
30回投稿して7回採用。
2割3分3厘。
ちょびっとずつ率上がってます。

今朝の屋根裏部屋の居候子猫。

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ほとんどジッとしてる。
そして、時々目を開けると、思い出した様に「ミャーミャー。」と鳴いてお母さんを呼ぶ。
可哀想で仕方が無い。

なんとか母猫を誘き寄せようと、裏の勝手口開けた所にちくわを切って置いておいた。
料理しながら、台所の窓からちらちらチェック。
「なかなかやって来ーへんな。」
合間に洗濯物を干す。
戻って来て、台所の窓を見る。

綺麗さっぱり無くなっている!

「おんどりゃーッ!母猫っ!」
「家ん中で自分の子供が鳴いてるのが聞こえんかったんかッ!」
「聞こえてるやろっ!育てる気ぃ、全く無いんかいっ!」

余りのことに呆れかえって、料理する気が失せる。
でも、母猫が近くに居るのは間違いない。
もう一度チャレンジ。
今度は昨日の親子丼の残りをかけた猫マンマに、焼いたベーコンをトッピングしてみる。
猫にベーコンは果たして大丈夫なのか?と、チラッと思ったけど、今は匂いで誘き寄せる事の方が大事。
「なんで野良猫の為に、あたしはわざわざベーコン焼いてるんやろ?」
と、思いつつ再び裏口開けた所に置いてみる。

なかなかやって来ない。
もう出勤せなアカンやん。
うー、どうしよう。

子猫はミルクも水も飲まない。
このままでは脱水症状で死んでしまうと、粉ミルクを溶かしてストローで飲ませようとしてみるが、口を開けてくれない。
「あ!哺乳瓶であげたらいいのか!」
と、ひらめく。
あたしのお兄ちゃんが生後一日で亡くなってるので、お仏壇に時々粉ミルクをお供えしている。
そのご先祖様用の小さな哺乳瓶に水を入れて、子猫を抱き上げて飲ませようとする。
あんなにジッとしてたのに、抱き抱えられるのは、身体をよじって嫌がる。
口も開けてくれない。
結果、顔が濡れて情けなさそうな子猫の出来上がり。
どうすりゃええのだ。
もうこのままだったら確実に死んでしまう。

動物病院連れて行って、点滴してもらうしかしょうが無いか…?
でもそれは、『飼う』という事に値する。

飼えるのか…?
あたしは前からペットが欲しくて、飼うなら柴犬が一番欲しい。
でも82歳のお母さんは絶対散歩には行かない。
仕事の帰りも不規則で、オマケに劇場通いにハマってる今、帰りが23時を回る事もしばしば…な今、ちと犬を飼うのは厳しい。
だったら猫が飼いたい!と時々お母さんに訴えているけれど、「家ん中が毛だらけになるでかなん!」と、お許しが出ず。
そんな時に迷い込んで来た子猫。
「明日休みやし、病院連れて行ってあげようか…。」
迷いながら仕事に行く。

19時半帰宅。
家ん中入ると、子猫が敷いていた古タオルだけが置いてある。
あたし「お母さん、子猫は?」
お母さん「親猫が来て鳴いとったさかい、出してあげたら連れて行きよったんか、ほれからおらへんのよ。」

連れて行ったんや。
そうか…、連れて行ったんや。

お母さん「ミャーミャー鳴き声がせえへんさかい、寂しない。(方言で寂しいの意味)」
猫嫌いのお母さんもすっかり情が移ってしまっている。
あたし「親猫が育ててくれたらほれが一番ええけどな。」

………でも、やっぱり寂しい。
実は仕事中に名前も考えていた。

『胡暮(こぐれ)』ちゃん。
灰色の猫なので、グレーから。
ホンマはあたしにとって、
『こ』=『虎』なので、『虎暮』にしようかと思ったけど、なんか阪神が暮れて行くみたいで、縁起悪いかと思って、『胡暮ちゃん』
なかなかええではないか。
気に入ってたのにな。

そうか、母猫連れて行ったのか。

お風呂に入る。
屋根裏部屋から足音はしない。

連れて行ってもいいけど、屋根裏部屋からも出て行ってしもたんや。
それは、賃貸契約違反やろ、母猫。

何の足音も鳴き声もしない屋根裏部屋。
味気なくていつもより早くお風呂から上がってしまった。

胡暮ちゃん。
ちゃんとおっぱい飲ませてもらってるか?