キヌヒカリ 田植え完了。

今年も無事田植え完了。

今日は上のお姉ちゃんが手伝いに帰って来てくれた。
いつもこちらから頼まなくても、「田植えいつ?」と聞いてくれて手伝ってくれる。
本当にいいお姉ちゃん達です。

物心ついた時から田植えを手伝って来た。
一番古い思い出は、田んぼの土を取って来て網でこして、苗を育てる育苗箱に入れる培土を作る作業を親戚にも手伝ってもらいながらやっていた事。
苗を育てる培土作りから全部手作業。
よくあんなしんどい事やってたな。

田植え前の仕事から田植え終わるまで、あたしも小学生になったら一丁前の戦力だった。
小作も含めて一番多い時で600枚の育苗箱分の苗を育てていた。。
今は根張りシートって言う育苗箱の底に敷くシートが売ってる。
あたしの子供の頃は新聞紙の一面を横半分に折って切って敷いていた。
学校から帰って来たら新聞紙を切る。
一枚一枚キチンと折り目をつけてから切る。
でもこれを600枚も切るのは大変。
最初は一枚一枚切ってたけど、段々面倒くさくなって、ある年5~6枚いっぺんに切る事にした。
切れない事はない。
でもやっぱりスカッとはいかず、折り目もガタガタ。
このあたしの切った折り目ガタガタの新聞紙を敷いて育苗箱への土入れをしていたお父さんが、烈火の如く怒りながら家に飛び込んで来た。
「これ切ったん、お前かっ?」
「アホ垂れっ!これで土入れてみいっ!」
「端っこが盛り上がってしもて、籾が平らに撒けへんやろがっ!」
「全部やり直せっ!」
「お前はキチンと仕事するのに、どうえっ!」
「ええ加減な仕事してなっ!」

もの凄い剣幕。
珍しくお母さんが「せっかく切らったのに、ほんで構へんやない。」と庇ってくれた。
これがお父さんの怒りに余計に油を注ぐ事になった。
「アホな事言うてなっ!全部やり直さな承知せんぞっ!」

正直腹も立ったし、学校から帰って来て遊びにも行かず全部自分一人でやったのに、なんでやり直さなアカンの?と言い返そうかと思った。
でも「お前はキチンと仕事するのに、どうえっ!」の一言が嬉しかった。
お父さんは怒る時は無茶苦茶怒るが、あまり誉めてくれる事はない。
THE昭和な昔気質の人だった。
そのお父さんに〝キチンと仕事する〟と認められてるという事実が嬉しかった。
そして小学生なりの仕事に対するプライドみたいなものに刺さって、お父さんに認められる仕事が出来なかった悔しさが沸いて来た。
結局一言も口答えせずに、その場で一枚一枚切り直した。

お父さんは田んぼの事になるといつも本気だった。
ええ加減な仕事してたらド真剣に怒られるし、何かの後回しにするのも許してもらえなかった。
でもそれは裏返したら、あたしを一人の戦力として認めてもらえているという事だ。
なんだかんだ言って、あたしはお父さんの術中にはまってしまってたのかもしれない。

お父さんが亡くなってから農業するようになって、一人だと元々面倒くさがりのあたしはついついだらけてしまう。
楽な方楽な方を選んでしまう。
自分に厳しく、仕事に厳しく向き合う事の難しさを毎年感じる。
それでも、今年も無事に田植えは終わった。

でも田植えは終わっても、お米作りは始まったばかり。
明日からまた一日一日苗の成長と共に朝が始まる。

ちなみに5/4に田植えした秋の詩。
今朝の一枚。

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稲の苗って、成長早い。
面倒くさがらず、置いていかれない様に、一日一日過ごして行こう。