若虎ベイベー
阪神タイガース新入団選手発表会見。
いやぁ~、いいね。
いつ見ても新入団会見は。
初々しい。
希望に満ち溢れてる。
ドキドキしながらも、「やってやるぞ。」って意気込みを一生懸命伝えようとする純粋さにほっこりする。
今年は高校生が多いので、未知数の部分も大きいけど、その分伸び代がたっぷりあるという事だ。
歴代の阪神の選手の入団会見で一番印象が強かったのは、〝虎のスピードスター〟こと赤星憲広元選手。(以降、敬称略)
夕方のニュースのスポーツコーナーで流れた会見の模様をリアルタイムで見ていた。
この当時、阪神のスーパースター新庄剛志がFA宣言をしたばかりで、〝新庄の抜けた穴を埋めるのは誰か?〟
が虎党の一大関心事だった。
そんな中行われた入団会見。
赤星は意気込みを聞かれ
「新庄さんの穴は僕が埋めます。」
と言ってのけた。
後に本当は「新庄さんの穴を少しでも埋められるように頑張ります。」と言うつもりだったのが、喋ってる時に少しつっかえて、焦ってしまい「新庄さんの穴は僕が埋めます。」になってしまったと述懐している。
確かに少し噛んだ。
でも動揺しているというよりは、緊張しながらも〝舐められてたまるか〟みたいな負けん気の強さが前面に出ていると人々は捉えた。
あたしもそう捉えた。
このビッグマウスは翌日のスポーツ新聞の格好のネタになった。
この年のドラフト1位って誰やったっけ?と調べてみたら、藤田太陽だった。
ゴメン。
全く覚えて無い。
赤星の印象が強過ぎて。
この会見を見て、世の中の虎党は(ほとんどあたし)こう思ったものだ。
「おいおい、赤星。」
「お前、愛知県出身で中日ファンらしいから、よう知らんのかもしれんけど、うちの新庄はスーパースターやで。」
「頭はアホかもしれんけど、身体能力は地球人離れしてる。」
「レーザービームの強肩。」
「堅実というよりは華やかさをまとった守備。」
「足だってべらぼうに速い。」
「それに何より何をやらしても無茶苦茶格好いいんや。」
「その新庄の穴を僕が埋めますやとっ!」
「っちゅーか、お前誰やねんっ!」
「幾ら足が速いいうても、むっちゃ小さいやんか。」
「170センチ?嘘や!ホンマは168センチ位しか無いやろっ?」
「ほれでよう新庄の穴を埋める言うたなっ!」
「うちの新庄なめてもうたらアカンでっ!」
と、まあこんな具合に。
でも赤星は本当に新庄の穴を埋めたのだ。
埋めるどころかお釣りが返ってくる程に。
謝っとこ。
謝っとこ。
「申し訳ございませんでしたっ!赤星様っ!」
「貴方こそ、ほんまもんのスター!レッドスターですぅっ!」
ドラフト4位指名。
指名順位は関係無い。
本人の努力次第なのだ。
そしてこのドラフト4位って、他にも大勢大活躍した選手が目白押し。
懐かしいところでは、イチロー筆頭に広島の前田智徳、金本知憲、ひーやん(桧山進次郎)だって4位だ。
他にも青木宣親に鈴木尚広、それからそれから…。
なんなんだ、ドラフト4位化ける説。
まあ化けてくれれば4位でも何位でもいいのだ。
赤星の入団会見は一流選手になった事で、〝赤星選手の入団会見はどんなんだったんでしょう。見てみましょう。〟的な流れで、この時期になるとちょくちょくVTR で流れる。
その度に、あの時クソミソにツッコミまくった自分を恥じる。
そんな虎党の期待をいい意味で裏切って、チームを代表するような選手に、この中から一人でも二人でもぜひ出て来て欲しい。
「頑張れ、新入団選手!」
「君の未来は今始まったばかりだ!」
「ようこそ!阪神タイガースへ!」