大晦日のお願い
大晦日。
掃除の合間に溜まってる録画を見る。
『録画容量が足りません。不要なタイトルを削除して下さい。』
ハードディスクドライブのメッセージに、半分脅迫されてるみたいな気分になる。
そして、今日も大活躍のアインシュタイン。(アインシュタインの出演番組の録画を見ているのだから、大活躍なのは当たり前なんだが。)
お母さんが稲ちゃんを見てあたしに言う。
「この子のアゴ見てみやいね。なんちゅう出たるや。」
「こんな子がテレビに出てやる。見てみい。」
『見てる。』
あたしが番組を選んで録画して、あたしが再生して見てるのだ。
『見てるっちゅーねんっ!(心の声)』
前は
お母さん「この子のアゴ見てみやいね。なんちゅう出たるや。」
あたし「それが売りやねん。」
お母さん「こんな子がテレビに出てやる。見てみい。」
あたし「お笑い芸人やから、ほんでええねん。」
とか何とかかんとか、返していた。
でもこの頃はもう面倒臭くなって、話し掛けられても、「ほんまやな。」とテキトーに返すか、無視している。
本当は、お母さんにもアインシュタインの事を好きになって欲しいけど、1年位前に諦めた。
好き嫌いは仕方ない。
あたしだって、出て来たらチャンネル変える位嫌いな芸人さんが居る。
特に好きになる努力なんてしない。
「何でこんな人が人気あるねんろ?」と、不思議ではあるが。
でも、好き嫌いは仕方ないけど、せめて覚えて欲しいのよ。
稲ちゃん程のインパクトのある顔を見て、なんでか時々今初めて見た!みたいなリアクションをチョイチョイして来るのだ。
「え?また忘れたん?」
「この前もそれ言うてたで。」
「この前喋ったとこやん。」
自分の母親なので、歳を取るってそういう事なんだ。
あたしだっていずれそうなるのだ。
と、腹を立てる事は無いけど、あんま頻繁やとなんか見てるこっちのテンションが下がるのよ。
だから、稲ちゃんお願いよ。
『うちのお母さんの印象に残るくらい、爪跡残してよ!』
面倒臭いねん!
頼むわ、ほんま。
あ、そうそう。
これだけアインシュタインの出演番組を見てるのに、お母さんの口からただの一度も「アニキ」に付いて出て来た事が無い。
間違えてわ。
爪跡残さなアカンのは、アニキやわ。
「アニキ。お年寄りに笑ってもらえる様になってこそ、お笑い芸人やと思うで。」
「世の中の半分以上、お年寄りやで。」
フル回転の大晦日。
今日も明るく楽しく元気良く!
「頑張れ~~。」
p(^_^)q