混戦のM-1グランプリ2020 その②

続いてマヂカルラブリーの登場。

せり上がりから上がって来た野田クリスタル君が、何故か正座している。

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優勝決定後のインタビュー等をチェック出来て無いので、正座した理由は知らないが、あたしはこれを野田クリスタル君のM-1に対する果たし状と言う気持ちの表れと取った。

センターマイクまで出て来て、「どうしても笑わせたい人が居る男です。」のつかみから、マヂカルラブリーの奇跡は始まってたのかも知れない。

そして注目は、それを聞いた上沼さんがパチパチパチパチと、力強く拍手している事。

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(静止画だと拝んでる様に見えるが、これ絶賛拍手中。)
(それにしてもアクセサリーがデカい。)
(そして、付け睫毛の影が長い。)

2017年のM-1グランプリで、上沼さんからの酷評&謎の怒りを買った上に最下位に沈んだ因縁の払拭に燃えるマヂカルラブリー

野田クリスタル君のこのつかみに拍手していると言う事は、上沼さんもその件を踏まえた上で「良う言うた!」の拍手やと思いきや、「全然覚えて無い。」と言われる二人。

ほな、「どうしても笑わせたい人が居る男」としての3年間持ち続けた矜持の行き場は??

(でもきっと、上沼さんはそう言った方が盛り上がると分かった上での発言と見ている。)
(知らん、覚えて無いなんて事は絶対無いよ。)

ところで、ネタが始まってびっくりしたのは、準決勝で観たネタでは無かった事。

あんなにウケたネタを1本目に持って来ないなんて。

マヂカルラブリーの他のネタをほぼ知らないあたしにとっては、その選択はよっぽどこのネタに自信を持っているって事か…と思いつつ観る。

高級フレンチレストランでのマナーのレクチャーを村上君が野田クリスタル君にしている静の時間から、シミュレーションに入っていきなり「違うよ!違うよ!違うよ!」の連発に入った時の爆発。

こっから先はマヂカルラブリー劇場。

「違うよ!」ってもの凄くシンプルなフレーズでツッコむ度に笑いが広がる。

この言い方、間、声のトーン。
完璧やった。

審査員さんの高得点が続く中での、ラスト上沼さんの94点!

その後の上沼さんの「何にも覚えて無い。」

野田クリスタル君の「何人にもあんな事してるんだ。だから覚えて無いんだ。」

ここまで含めて素晴らしいショーやった。


2位に食い込むマヂカルラブリー

と言う事は、ニューヨークの敗退が決まった事を意味する。

屋敷君が全く笑って無いのを、「笑いながらツッコむのが余り好きじゃ無い。」と松本さんに去年言われた流れからの、〝作った無の表情〟のボケと捉えるのか、本当に本当に悔しくて悔しくて、あの表情になってしまったのか。

あたしは後者だと思う。

M-1の決勝に進めただけでも感謝〟と思って臨んでいるコンビなのか、〝絶対に優勝してみせる〟と思って臨んでいるコンビなのか。

ニューヨークはガチガチに優勝を狙いに行ってたし、自分達が最終決戦まで勝ち進むイメージが十分出来てたろう。

悔しくて悔しくて、多分しばらく感情のコントロールも難しいと思う。

更に本気になって、より一層捻くれた部分や毒っ気が増したニューヨークの今後に期待。


続いてオズワルド。

去年は静かなトーンで淡々と言葉を重ねて行く程にじわじわと来る笑いが印象的なM-1デビューとなったオズワルド。

その良さは残しつつ、今年は力強さが増した。

伊藤君の声を張っての「今、雑魚寿司の話だろうがーっ!」に爆笑!

去年、会場が揺れる程空前絶後にウケまくったミルクボーイの後に出て来て、「こんなやりにくい出番順無いわ。これは気の毒。」と思ったこっちの心配を他所に、淡々と自分達の漫才に徹して自分達の世界観を見せ切ったオズワルド。

今年もまた動きに動いて、自分達も会場も揺らしたマヂカルラブリーの後の出番。

その後に行う喋くり漫才は、かなり緊張するはず。

でも去年とは比べ物にならない落ち着きと風格の様なものを感じた。

伊藤君の声の張り方が、もっと静かに聞きたいと話す松本さんと、もっと大きい声で話したらと言う巨人師匠。

このやり取りの時に見せた伊藤君の返しにニヤニヤが止まらなかった。

点数出た後にあの返しが出来るって、やっぱりオズワルドは面白い。

生オズワルドがどうしても観たくて、祇園花月のチケット取った。


8番手にアキナ。

8番目ってのは、アキナとしては待ち時間が長過ぎたのか。

と言うより、今年は全体に凄く大きな声でツッコむ漫才が続いた後だったと言うのが、アキナが受ける流れとしては厳しいものになったのだと思う。

トップバッターのインディアンスのハイテンション漫才。
東京ホティソンから見取り図まで段々笑いの厚みが増して行った後の、絶叫ツッコミのおいでやすこがさん。
マヂカルラブリーも動きがあるうえに、村上君のツッコミは結構響く。
そして、静のオズワルドまでかなり声を張った伊藤君のツッコミが炸裂。

この流れだと、会場のお客さんは声を張ったツッコミに耳が慣れてしまっている。

耳が集中砲火の様なツッコミを求めてしまっている。

その空気の中に登場する事になったアキナの不運。

今回のネタはアキナの真骨頂とも言えるネタだ。

好きな女の子に見せる少年のむず痒さみたいなものを、山名君の表情と演技で魅せて、秋山君が突き放すのでは無く寄り添う様にツッコミを重ねて行く。

ハートウォーミングなネタ。

完成度は無茶苦茶高いし、本当に良く練り込まれたネタだと思う。

ただ集中砲火の様な叫び系ツッコミに耳が慣れてしまったお客さんには、もっと畳み掛けて欲しかった。
もっとガンガン来て欲しかった。

そういうちょっとした物足りなさが積み重なって、今一つ笑いが爆発しない結果になったのではないか。

山名君も秋山君も、自分達が想像してた手応えがなかなか返って来ない怖さがあったと思う。

巧者アキナが出番順のアヤに沈む。

M-1グランプリの怖さを見せ付けられてしまった。

点数が出た後「恥ずかしい、恥ずかしい。」を連発してたアキナ。

自分達のこの状況を振り切って笑いに変えてしまえるには、しばらく時間が必要かもしれない。

でも、完成度の高さはさすがだった。

胸張って返って来てよ、アキナ!


そして、今大会の隠し球であり、ダークホースであり、台風の目にもなり得る、最年長であり初出場の錦鯉。

全力でバカをやる49歳の長谷川さん。

何故か長谷川さん自身がパチンコ台になるという奇天烈なネタ。

そこに意味なんて無い。
ただただバカバカしい。

でもそれが良いのだ。

ただ、何でだろ?
準決勝と同じネタなのに、準決勝の時程の爆発力を感じない。

何が違うのか?

審査員さんの意見待ち。

結局、全員の総評聞いても何が違うのかは分からず。

漫才におけるバイオリズムみたいなもんなのか。

芸歴は恐ろしくベテランだけど、結成年では言えばまだまだチャンスがある錦鯉さん。

また別のバカバカしいネタを観てみたい。


ラストバッターは、ウエストランド

『小市民怒濤の叫び』と紹介VTR。

「悪口漫才師を好きな女の子なんて居ないんだよッ!」
「こっちは無作為に人を傷付けるお笑いやってんだよッ!」

まさに自虐の心の叫び。

言ってて気持ちいいだろな。

ただラストのオチが弱いと感じてしまった。

どんどんヒートアップする井口君と、それをずっと静観する河本君の対比が面白さにストレートに直結する前に、温度差と取れてしまったか。

あと30秒あれば、評価がまた変わったかも。


全組終わって、最終決戦に進んだのは、
1位 おいでやすこが
2位 マヂカルラブリー
3位 見取り図

三組三様。

見所も見せ方もタイプも全部違う。

楽しみはまだまだ続く。



ヤバい。

年末大掃除する為に取った休みなのに、全然掃除が進んで無いっ!

どーして、ブログなんて始めてしまったんだ!

続く。