「抜けないっ!」

ヤバい。
体重がデッドラインを超えた。

あたくし、身長158センチ。
体重49キロ。

…変な嘘、変な嘘。
49キロは理想。
現実は52キロ。

158センチ、52キロ。
なんかガッチリチビみたいな見た目。
痩せたい痩せたいと言いながら、たいしたダイエットもせず。
平成から令和に変わるのを言い訳に、
「令和になったら間食キッパリ止めてダイエットするねん。」
「ほやから、平成のうちは食べたいもん食べとこ。」
って調子に乗ってたら、今日体重計ったら53.4キロあった!

ウゲッ!
ものの見事にお腹出てる。

普段52キロの体重が、51キロを切るとくっきりウェストのくびれが出現し、53キロを超えると妊娠5ヶ月か!みたいなお腹になる。
たかが2キロ。されど2キロ。

おまけに恐ろしく骨太なのだ、あたし。
ま、お父さんもお母さんも無茶苦茶骨太で、百姓をする為に生まれて来ました。みたいな体型だった。
なので、遺伝子そのまま受け継いでしまった事になる。
遺伝子まで素直なんです。あたくし。
でも、お姉ちゃんは二人共全然骨太やないのにな。

華奢な男の人よりも手首が太い。

2年前か、乳癌の左乳房の再建手術の術後治療に京都の病院に通っていた時。
診察時間にはだいぶ余裕があったので、京都の伊勢丹でアクセサリーを見てた。
夏場で、その日着てた洋服が、なんかアクセントが足らないなぁと思って、バングル買おうかなとブラブラ。
流行りのボタニカル柄のバングルが気に入って、左手首に通してみた。
イヤ、正確には通そうとした。
頑張ってみたけど、親指の関節の所がどうしても通らない。
親指を内側に折り曲げて、うーんうーんと無理くり通そうとしたら、途中で通す事も抜く事も出来なくなってしまった。

「ヤバい…。どうしよう…。全然動かへん…。」
左手を見ると、〝どうやってそこまで通したんや!〟状のとてつもない角度に親指が曲がってる。
くぅ~、関節が痛い…。
けど、何とか抜こうとするねんけど、バングルが割れそうで全力で引っこ抜く事が出来ない。
「どうしよう…。あ~もう~、何で無理くり通そうとしてもーたんやろ…。」
後悔しても遅い。
診察時間も迫って来るし、店員さんに見つかりそうで、死角になる位置まで移動して、必死に抜こうとする。
「ヒ~ッ。痛たたた。痛い~。」
もう冷や汗なんか、ホットフラッシュなんか、訳の分からん汗がダラダラ流れて来た。
「この汗の水分を潤滑油代わりに利用して引っこ抜くのだっ!えいっ!」
ズコンっ!
抜けました。
ようやっと抜けました。
ただ、親指の関節の所の皮がズル剥けて、血が滲んでる。
「痛ぁ~。」
そーっとバングルを元にあった場所に戻して、その場を離れた。
(バングルに血は付いてない。)
ヒリヒリする左手首というか、左親指関節からは、血が滲むどころか、完璧に血が浮いて流れ始めてる。
「アカンっ。今日白っぽい洋服やのに、血がついたらみっともない。」
「絆創膏、あ~もぉ~今日の鞄には入ってないわ。」
そこから伊勢丹で絆創膏買おうとウロウロしたけど見つからず。
よ~考えたら、コンビニとかの方が売ってるやん!とセブンイレブンに買いに走る。

無事購入。
洋服に血が付くのは回避出来た。
が、しかし。
診察時間過ぎてしまってる。
電話しようか迷ったけど、駅から徒歩5~6分の病院なので、走った方が早いと判断して猛ダッシュ

乳腺外来の受付の看護師さんに汗ダクダクで、
「遅れてスミマセン!ちょっとコンビニに絆創膏買いに走ってて。」
と思わず言い訳したら、
「絆創膏?病院にいくらでもあるのに?」と冷静に返された。

「ホンマや。」
ホンマですがな。余計な出費もする必要無かったやん。
なんか、焦ると無駄な動きしてしまうのよな。

これを教訓に、割れ目の入ってないタイプのバングルには絶対に手を通さない。と心に誓った。

でも、憧れの49キロ台に体重減ったらバングルも通し放題やろか?

痩せよう。
バングル、ジャラジャラさせたるねん。

けど、骨はどうやったら細くなるの?
放っといても骨粗鬆症で細くなるやろか?

骨粗鬆症……。
なんか……、こんな終わり方するつもりやなかったのに。
何やろ?この寂しさ。

……寝る。