年賀状一枚(その弐)『感謝のカタチ』

突然の番組終了を告げられた日のオンエアが終わった瞬間、私は直ぐにメールを打ち出した。

番組が突然終わる事の衝撃。
ヒラメキラジオにメールを投稿するようになって、文章を書く楽しさを思い出させてもらえた事。

いつもなら推敲に推敲を重ねて練る文章も、伝えたかった事をそのままぶつけるように打った。
打ちながら涙が止まらなかった。
ベッドの周りは丸めたティッシュで一杯になった。
送信をクリックした途端、嗚咽が止まらなくて、自分がどんなにヒラメキラジオに依存していたのか思い知って少し怖かった。

翌朝腫れ上がった顔を冷水で洗いながら、どうやって感謝の気持ちを伝えるか、もう考え出していた。

ヒラメキラジオを聴き始めてからの約三ヶ月。
私の毎日は明らかに変わった。
ちょっと腹立つ事があっても、これってネタになると思えた。
しんどいしんどいとしか思えなかった農作業も、ラジオを聴くのを楽しみにしているというブドウ農家さんや職人さんからの投稿に、私も文句ばっかり言ってないで頑張ろうと励まされた。
ぬるま湯と不満の毎日に、カラフルな色が付いた。

アインシュタインの二人にアシスタントのナカジ。
番組を支えてくれたスタッフさん。
お花を贈る?
プレゼントを贈る?
迷っているようで、実は心は決まっていた。
「みんなに私の作ったお米を食べてもらいたい。」

オンエア最後の週はきっとリシュナーさんから色んなプレゼントが送られて来る。
アインシュタインは漫才劇場に送るとして、ナカジもスタッフさんもきっと電車通勤。
一杯の荷物を持って電車に乗るのはしんどい。
お米は重いし、前の週に送ろう。そう決めた。

この時期、私の新米を楽しみにしていてくれる顧客への発送に追われていて、バタバタしながら準備した。
でも準備してる間も楽しかった。
アニキと稲ちゃんは、劇場から自宅まで自転車やから、ハンドルに引っ掛けられるように持ち手の長い袋が要るかな。
ナカジは重ければ2回に分けて持って帰れるように、二つに分けておこう。
100円ショップにお米を入れる袋を買いに行く。
いざお米入れようとすると、入らなかった。
ありゃ?
また買いに走る。
そんなこんなも込みで楽しかった。
便箋も買わなくちゃ。
劇場に行く前になんばのロフトに寄った。
超絶方向音痴の私は、ロフトの売り場に辿り着くのに、散々ウロウロした。
で、ロフトにたいした便箋は売ってなかった。
と言うか、私の働くお店でも置いてる物ばかりだった。
「これなら私のお店で買うたらええやん。社割で買えんねんから。」
無駄足だった。
それでも楽しかった。
スタッフさんに送るのは、結局最終回の週にズレ込んだけど、みんなそれぞれに手紙書いて梱包して。
小分けにして段ボールに詰めた後、
「どうかみんなにおいしくて食べてもらってな。」
そう声を掛けて撫でてガムテープを貼った。
どの顧客に送る時よりも、ワクワクした。

番組へのメールでも、アニキと稲ちゃん、ナカジにお米を贈ったと書いた。
ドキドキの最終回前週のオンエアが始まった。

冒頭でナカジが自分にお米が送られて来たと話した。
ナカジ「あたしにリシュナーさんからお米が送られて来て~。お二人にでなくあたしにですよぉ~。もうびっくりして~。」
アニキ「ホンマや。米って書いてるやん。あんまりお腹すいたお腹すいた言うてるから、心配してくはったんやて。」
………略(忘れた)…………
アニキ「でもお米って嬉しいよな。」
稲ちゃん「うん、嬉しい。」

…………?…………?…………?

あ、ナカジお米の事喋ってくれた!
うん?あれ?なんで?
私はアインシュタインにも漫才劇場に贈ったとメールに書いたよな??
二人に贈った事はなんでスルーされてるの?
え?どういう事?
メールには全部目を通してるって言ってたけど、やっぱりメールは読んでもらえてないって事???

訳が分からなくなった。

お米を贈ってからずっと、勝手にどんなリアクションしてもらえるのか妄想してた。
ナカジがお米の事に触れてくれて嬉しいと思ったのは一瞬だった。
どういう事?どういう事?
期待が大きかった分落胆が大きくなった。
頭の中のシーソーバランスは、
喜び<<<落胆 に変わった。

その日のオンエアが終わってからずっと頭の中は
「なんで?どういう事やってんろ?」で占められた。
そして迎えた最終回。
放送ブースには、全国のリシュナーさんから送られて来たプレゼントで溢れかえっていた。
後で番組のホームページを見たら、私がスタッフさんに贈ったお米もちゃんと並べてあった。
「ああ良かった。ちゃんと届いてる。」
一週間の間に情緒不安定になってた私は、無事に届くという当たり前の事でさえ、疑心暗鬼になってしまっていた。

「どうやってんろ?」
喜んでもらえるはずと信じ切ってた気持ちが、梯子を外されたみたいに宙ぶらりんに揺れ出した。

こうなると、私のいけない癖が顔を出す。
悪い方悪い方にしか考えられない。

番組のリスナーとは言え、一度も会った事もないファンからいきなり送られて来たお米。
もしかして気持ち悪いとか思われてしまったのか?
忙しい二人だ。
自炊する機会なんてそんなにないはず。
余りたくさん贈ったら、かえって迷惑になる。
そう考えてこれぐらいなら邪魔にならないかと導き出した4キロのお米。
朝食は食べないと言ってたアニキ。
一度も自炊の話を聞いた事ない稲ちゃん。
そもそもお米というチョイスが失敗だったのか。

考え出すと止まらない。
お風呂の中、運転中。
一人になると、ずっとその事ばかり考えるようになってしまった。

あんなに贈る前は楽しかったのに。
なんでお米なんか贈ってしまったんやろ…。
泣いてばかりいた。

私はアインシュタインの言葉が聞きたかった。

「俺らにも送ってくれはってん。ありがとうございます。」
妄想の中で繰り返した言葉は、ついぞ聞く事は叶わなかった。

この頃に番組に送ったメールを読み返す。
完全に情緒不安定だった。
仕事中にもふとした拍子に、「なんでお米なんか贈ってしまったんやろ…。」のフレーズが浮かんで、ポロポロ涙がこぼれて困った。

冷静になろう。
何万何十万というファンを持つ二人。
一人一人の期待通りの対応をするなんて、不可能に決まってる。
そうこれは特別な事じゃない。

一生懸命仕事した。
一生懸命気持ち立て直した。
一生懸命笑うようにした。

ちょっとずつちょっとずつ
「なんでお米なんか贈ってしまったんやろ…。」が薄れていった。

年賀状一枚(その壱)『仕掛け』

15日。
父の月命日の今朝、す・またんを見てたら、見取り図が上方漫才大賞受賞のニュース。
特別賞に霜降り明星
そしてブサイクランキング三連覇に稲ちゃん。
男前ランキング1位にアニキ。
アインシュタインはコンビで制した事になる。

嬉しい朝の始まり。
大好きな番組に、自分の好きな芸人さんが取り上げられてて、す・またん独自のインタビュー映像も盛り沢山で。

ただ私はリリーさんにTwitterブロックされてしまってるけど。

なかなかに凹む。

不必要に怖がらせてしまっているようなので、訂正しておこう。

私の達成したい目標に芸人さんは1ミリも関係ない。
ただ自分が目指す理想の姿に、笑いが欠かせないというだけだ。

勝手に面白がってもらってるんじゃないかと勘違いしてた自分が、まさか気持ち悪がられてるとか嫌われているという事実を受け入れるのに、時間がかかっただけ。


紳助さんが立ち上げたM-1が、一旦終了したのにコンビ歴15年未満に門戸を広げて復活したのは本当に嬉しかった。
そして再スタートしたM-1で、今まで知らなかった芸人さんを知り、漫才がこんなにも進化してる事に驚きと喜びを感じてた。

初めて劇場に足を運んだのは西梅田劇場。
衝撃だった。
テレビで観るのとは全く違うライブ感。
舞台と客席の近さ。
若手漫才師が多くのファンを掴んでいるという事実。

紳助さんに憧れて、いつもネタ帳を持ち歩き、何か面白い事はないかとアンテナを張ってた十代。
でも社会人になって、人間関係に苦心したり、オーバーワークになって身体を壊したり。
笑いを取りに行く、前のめりな私は息を潜めるようになった。
勿論いつも楽しもうとはしてた。
ただ自分がその場を回す事からは遠ざかった。
周りを笑わす余裕より、自分が家族や親しい人に心配かけないように、毎日ちゃんとご飯を食べて働いて睡眠を取る事に重きをおくようになった。

あの時期それは間違いではなかった。
ただ自分のお笑い脳みたいなのは休眠状態になる。
いつも周りを笑わそう笑わそうと力が入ってた時は、ちょっとした事を面白おかしく頭の中で変換する癖が付いていた。
そこから離れて錆び付いていた脳には、劇場で躍動する芸人さんの姿は本当に刺激的で、なんだか自分が出遅れたようでショックでさえあった。

アインシュタインをテレビで初めて見た時、実はちょっと紳助、竜介を思い出した。
漫才の事ではない。
この時はアインシュタインの漫才をまだ観た事もなかった。
稲ちゃんのアゴが、紳助さんを思い出させた。
勿論、アゴの破壊力では紳助さんは稲ちゃんに太刀打ち出来ないけど。
強面で泣く子も黙る見た目の紳助さんと正統派の男前だった竜介さん。
竜介さんは漫才だけでなく、普段のフリートークもカミカミで、何と言うかポンコツで、でも愛嬌があって。
紳助竜介の人気の秘密は紳助さんの毒を振りまきながら笑いをかっさらって行く天才振りだけでは決してなかった。
このコンビの見た目の落差の大きさが共通してるなと、ちょっと思ったのだ。

アインシュタインにとって見た目の落差の大きさはもの凄い武器だ。
見た目にインパクトがある時点で、他のコンビより一歩も二歩も先んじている。
稲ちゃんの顔面は破壊力満点だし、アニキはイケメンだけじゃなく、圧倒的な華がある。
実はアニキは『努力の人』だと思ってる。
『努力の人』って、芸人さんが一番言われたくない芸人殺しの言葉なんだろうけど、きっと事実だから仕方がない。
アインシュタインを組む前のアニキの数少ない画像を見ると、それほどイケメンでもないし、ガリガリで貧相でどこか田舎臭い。
稲ちゃんとコンビを組む事になって、不細工とイケメンという両極端を特徴として打ち出し、稲ちゃんの見た目で引かれてしまう分をカバーする。
色んな事にアンテナを張り、映えるInstagramの写真のアップ、
諸々の努力も込みでアインシュタインを人気コンビに引き上げて行く。
稲ちゃんは確かに顔面のインパクトは凄いけど、不潔感がない。
きっと本人もそこは気を使ってるんだと思う。
二人して身長もあるし、スタイルもいいから、結構何を着ても映える。
ブサイクランキングと男前ランキングをコンビでアインシュタインが独占。
漫才師として見た目の評価なんてそれがなんぼのモノだと言う人も居るだろう。
でもそれはプラス以外の何物でもない。

劇場に足を運ぶようになってアインシュタインの漫才を観た。
実は初めて観たのが何のネタだったのかもう覚えてない。
テレビでは全然だった二人が、舞台では生き生きしてた。
その日の出演者の中で一番のインパクトを受けて、私はYouTubeや画像を検索するようになったし、テレビの予約録画のジャンルに『アインシュタイン』とワード登録した。
最初はワード登録は全然活躍しなかった。
アインシュタインでも相対性理論アインシュタインに関する番組を拾ってしまって、面倒くさかった。
それが夏になり秋を迎える頃には、出演番組も増えて二人は押しも押されぬ人気芸人さんになっていった。

私が二人の冠ラジオ番組、『ヒラメキラジオ』を聴き出したのは遅かった。
初めて聴いた時、「こんなに面白いんやったら、なんでもっと早く聴き始めへんかったんやろ。」って、歯噛みする程の後悔を感じた事を強烈に覚えてる。
そして生まれて初めてラジオ番組にメールを送った。

二人のファンである事、ラジオ番組にメール送るのは初めてである事。
当たり障りのない凡庸なメールだった。
勿論読んではもらえなかった。
凄い数のメールが届くのだ。
そんな簡単には読んでもらえない。
何か面白い事起こらないかな…?
私は十代の頃のように、身の回りに転がってるネタ探しをするようになった。
そして、和牛の単独ライブに向かう新幹線の車中でのエピソードを送った。
番組のメールフォームの1000文字以内に収めるのに苦心して、2時間くらいかかった。
広島のホテルのベッドに寝転がって、お風呂で温まった身体が冷えてしまう程時間がかかった。
でも、ちょっと手応えはあった。

番組のオンエアの日、もしかしたら読んでもらえるかも…。ドキドキしながらスマホから流れるradikoに聴き耳を立ててた。

そして読んでもらえたのだ。
無茶苦茶嬉しかった。
あんなに心拍数が上がった事、ここ何年もなかった。

それから番組にメール送るのが私の楽しみになった。
でも、また読んでもらえる事はなかった。

私は作戦変更した。
もの凄い数のメールの中で、読んでもらえなくても二人の印象に残るメールを送ろう。

珍しく私は自分から仕掛けた。

ポッドキャストで過去の放送を聴く。
単純に面白かったから聴いた訳だけど、これで番組の傾向が読み取れた。
リシュナーさんのメールは基本みんな二人を賛美している。
綺麗な言葉使いで。
それは礼儀にうるさいアニキと、優しい言葉使いの女の子が好きな稲ちゃんの好みに合わせてるようだった。

だったら、反対を行こう。
他のリシュナーさんが絶対書かないようなネタ。
下ネタで。

高校の時の鉄板の下ネタエピソードと、いつも私の働くレンタルビデオ店に来てくれる同級生の話。
一週では印象が薄いと思って、わざと二週続けて下ネタを送った。
ヒラメキラジオの目指す番組指向とは真逆だし、ちょっとした賭けだった。
〝二人の目に留まる事〟
〝こんな事書いて送って来るおばさんってどんな奴やねんと興味を掻き立てる事〟
その事だけを考えて、私は下ネタエピソードを連投した。

二人の興味を掻き立てる…。
仕掛けは成功した。
多分。
劇場の席が前だったのが続いた事もあって、認識してもらえる事には成功した。
きっと。

いつも頭の何処かにアインシュタインが住むようになった。
仕事終わってから、農作業の段取りを付けてから、多い月は5回劇場に通った。

農作業は孤独だ。
田んぼに一人ポツンとトラクターに乗って、身体全身に響く振動に耐えながら耕す。
ゆっくりゆっくりトラクターを走らせ、何度も何度もハンドルを切って往復する。
ロータリーの回転音がうるさくて、ラジオも聴く気にはならない。
単純作業だけど手を抜くと、高低差が出来てしまい、その後のお米作りに後々まで影響するから手は抜けない。
ずっと手足は動いてるのに頭が暇だった作業中は、ヒラメキラジオに送るメールの文章を組み立てる時間になった。
ラクターに乗る4~5時間は孤独ではなくなった。

もっと単純で暑くて厳しい作業が畦の草刈りだ。
真夏に背中にエンジンの唸りをあげる草刈り機を背負い、全身汗だくになりながら刈る。
熱中症になるのは、大抵草刈りしている時だ。
時に跳ね返った小石で耳を切る。
泥が目に入る。
何かを産み出す作業ではないから余計体力以上に気が滅入る。
その滅入る時間も、頭の中で文章を組み立てれば短く感じるような気がした。

50代米農家の日常にアインシュタインとヒラメキラジオが住み着いたみたいだった。

でも、ヒラメキラジオにメールを送る。
その楽しみは突然終わりを迎える。
番組終了が突然発表された。

「嘘やろ…。」
聴きながらドキドキドキドキして、アホみたいに何度も「嘘やろ…。」って繰り返してた。
心が現実を受け入れたくないと叫んでるみたいだった。

夢の続き。

快晴の成人の日。

あたしの家から見える伊吹山も、真っ青の空に真っ白のコントラストが無茶苦茶美しい。

あたしは成人式に、当時流行ってた大正ロマンのニュー着物を着て行った。
お姉ちゃんの同級生の美容室でレンタルした着物着て、生まれて初めて付けたウィッグで。
どんな着物着るか、どんなメイクにするか、そんな事ばっかり考えてて、両親にちゃんと感謝の気持ち伝えるなんて頭になかった。

お父さんもお母さんも、ずっとずっと元気で居てくれるものだと思ってた。

新成人を迎える家庭で、一軒でも多く両親に感謝を伝えてくれてるといいな。

あたしは結婚もしてないし、ましてや子供もいないから親の気持ちなんて分からない。
でも自分が50歳を過ぎて、あの時のお父さん、お母さんはこういう気持ちやったんと違うかなと思う事が増えた。

5年ほど前、当時27歳くらいの社員のNさんが、自分のお父さんともう2年くらい口を聞いてないと話した。
あたしはびっくりして、「なんで?」って思わず大きい声で聞いた。
Nさん「なんか鬱陶しいんですよ。」
あたし「お父さんは何にも話し掛けて来はらへんの?」
Nさん「おはよう。とか挨拶はして来やりますよ。」
あたし「ほんでNさんは何も返さへんの?」
Nさん「はい。無視してます。」
あたし「……。(絶句)」
あたし「なあNさん。急にお父さんと会話してあげて言うても無理やろ。自分からお父さんに挨拶するのも多分無理やわ。ほやけど、ほれやったらせめて家出る時に、お父さんが居る方に向かって〝行って来ます〟て、それだけでいいから言うてあげて。ほれでお父さんの一日は全然違うはずやから。な、お願いやし、それだけでええから言うてあげて!」

きっと小さい頃から目に入れても痛くない程、Nさんの事を可愛いがって来ただろうお父さんの気持ちを考えると堪らなくなって、力説したなぁ…。

そのNさんが去年、別の社員さんの送別会の時、あたしの隣の席になって座るなり
「〇〇さん、あたし今はちゃんとお父さんと話してますよ。あの時はなんかダルかったんですよね。」と言って来てくれた。
力説した時は、全然響いてない感じで、変なおせっかい焼いてしまったかな…ってちょっと後悔してただけに、無茶苦茶嬉しかった。
よそんちの事やのに。

子供がどんなに感謝を伝えても、親が子供に注いでくれた愛情の万分の一にもきっと満たない。

お父さんが亡くなってから、あたしはお父さんに本当に守られてたんだと痛感する毎日だった。
世帯主になって、町内やお寺の行事に出席するようになって、男手が居ないというのがどういう事なのか、思い知らされる。
JAや銀行や保険会社と色々な契約を交わす時。
家屋敷が台風被害を受けたり、古くて修繕する時。
いつもこれでいいのか、他にもっといい方法があったんじゃないのか、この見積書通りに事を進めていいのか…。
お米作っても、年々JAの買い取り価格が下がって、もう利益は全く見込めなくなって、近所の農家が次々廃業していって、赤字でもそれでもお米を作り続けるべきなのか…。
迷う度に、お父さんはこれを全部あたし達家族に何の不安も与えないようにしてくれてたんかと尊敬する。

あたしはお父さんに全力で守ってもらってた。

だから全力で守り返したかった。
もう出来ないけど。


あ、そうそう。
夢の続きは見れなかった。

っちゅーか、自分の意思で見たい夢が見れる力があるんなら、こんな田舎でお米なんか作ってない。
予言書かなんか書いてるわ。
そもそもどんな夢やったのか、もう覚えてない。

夢なんてそんなもん。

夢はそれだからいい。

つづく。

今朝、夢を見た。
何年振りかに夢を見た。

……………………。。。

なんでやねん。
どういう事やねん。
なんか腹立つわぁ~。
むっちゃ悔しいねんけど。

台本で言うたら、あたし通行人Aくらいの役どころやったわ。

こういう感情をなんて言うんやろ?
『可愛さ余って憎さ百倍』??
いや、別に憎くはない。
うん。憎くはない。

ただ 可愛さが余らへんようになっただけ。
はみ出してた可愛さが無くなった隙間に入り込んだこの感情は、なんて呼べばええんやろ?

う~ん……。
アカン、アカン。
また悪い癖やわ。
そのうち消えてしまう感情の名前考えて、ほんでどーなる。

ほんまに、全く。
しかし、どうしてこうもあたしは分かりやすいのか。

なんか、人間って汚い。
なんか、人間って往生際悪い。
なんか、人間ってみっともない。
なんか、人間って 間抜け。
人(ヒト)になるには、間がある人間。

でも、ほやから面白い。
ジタバタしてる自分も、きっと高い場所から見たら面白い。

今日、社割で50円で借りたBUMP OF CHICKENのアルバムを、一日延滞して延滞料金108円払った。

これがあたしなんです。

往生際悪くて、詰めが甘くて結構抜けてる(ブログ始めてから気が付いた!)自分。
あ~、あ~、もぉ~……。
でもしゃーないもん。
他に替えは効かへんし。

どーせなら、今晩夢の続き見たろ。
あの後どーなるのか、むっちゃ気になる。

フフフっ。

詰め替え用パック

あー、辛気臭さッ💢💢

この時期、指が乾燥してフリック入力する時に反応せん時がある。
えいっ!えいっ!
も~、指舐めたろかな。

フリック入力 指舐めたろか 衝動と闘う50代』

初めてガラケーからスマホに買い替えた時、今ほど感度が良くなくて、ホンマに反応せんかった。
お姉ちゃん達もおんなじ事言ってて、この話を若い子にしたら
「えー?そんなん思った事ないですー。」と言われ、20代と40代でそんなに指の湿度違うか?とびっくりした。

もうハンドクリーム手放せなくて、スマホがベタベタ。

今のスマホに機種変更して、今度は感度が良くなり過ぎて、指を近付けただけで反応して、打ちたい文字の隣の文字を拾ってしまう。

あたしの指が太いんかっ!
そして何故いつも〝か〟を打つのに〝こ〟と反応する?
なんやねんっ!
〝こ〟意思強過ぎるやろっ!

ここかしこで「あたし歳取ったんやな。」と感じる今日この頃。
って言うか、だいたい若い子は〝ここかしこ〟なんて使わんわな。

昔、やたら良く喋る大学生バイトが居て、細かいニュアンス忘れたけど、
「もう、〝立て板に水〟やね~。」
って言ったらキョトン?とされて
「立て板に水って何ですか?初めて聞きました。」と返され
「あ、この子アホや…。」と思ったら
周りの若いスタッフ全員が、「聞いたことない」と言うので愕然とした。

マジかっ?
〝立て板に水〟って、そんな死語と言える程の古い言葉か?
大丈夫か?ニッポン。
ちゅーか、大丈夫か?うちのスタッフ?
もしかしてアホばっかりか?
なんやねん、この昭和生まれと平成生まれの違い?
あれはなかなかのショックやったな。

でも若い子ばかりをバカに出来ない。

あたしもこれはもしかして立派なお年寄りかと思う時がある。

あたしは美容室の先生に「ヘアケアはトリートメントの数倍シャンプーが大切」と聞いてから、シャンプーはアミノ酸配合のこだわりのシャンプーを使ってる。
で、トリートメントは市販のそれなりの物。
ずっと同じメーカーのトリートメントを使ってて、詰め替え用のパックを買ってくる。
でもちょっと飽きてきたので、別のメーカーのトリートメントの詰め替え用パックに買い替えて約二ヶ月。
「このトリートメントやたら泡立ちいいなぁ~。」
と、思いながら使い続け、この前無くなったので替えを買いにドラッグストアに行った。

えーっと、どれやっけ~?
あ、これこれ~。
詰め替え用トリートメントの袋に手を伸ばす。
うん?
隣にパッケージの色がちょっと違う、『トリートメント』が置いてある。
うん?
あたしが使ってた……同じ…詰め替え用パック……

「シャンプーやんっ!」

あたしは約二ヶ月、こだわりのアミノ酸配合の2800円くらいするシャンプーの後、700円のシャンプーでずっと髪を洗ってた。
どーりでよく泡立つはずやわ。
こんな、ベタなコントみたいな間違いを自分がするようになるとは。

シャンプーの詰め替え用パックを持って、「シャンプーやんっ!」と口走ったあたしを、棚に商品出ししてた若い店員さんがチラ見した。

「ゴメン、おばさんで。」
心の中で謝った。

あたしは隣の詰め替え用パックのトリートメントと、ヘアオイルを買って帰った。
二ヶ月分のダメージは、取り返せるやろうか。

『見てろよっ!』

一体何を間違えたんやろ?
何処から間違えたんやろ?
もしかして、そもそも始めから間違えてたんか?

2018年で学んだ事。

『自分が望む結果なんて、相手に期待しても得られない。』
『結果が欲しければ、自分が動く。』

今まで〝相手の気持ちや立場を勝手に慮って自分が動けない〟ってパターンを繰り返して来たけど、ちょっと方向転換しよう。

乳がんなって片胸失って、ホルモン療法でパニック障害に陥り、治る保障がなくて先が見えず、三週間で6キロ痩せる地獄の半年を乗り切って、やっと笑えるようになったのに。
病んでたまるか。

去年の本来の目標はなんやったんか。
忘れてたわ。
思い出そう。
まだ何にも届いてない。

諦めない。
もうなんとなくフェードアウトしてうやむやになるのに飽きた。

今まで見切りをつけるタイミングを見誤って来たんやわ。
道は一つやないはず。

ボーッとしてたら、人生終わってまう。

次に進もう。
絶対に手に入れてみせる。

『見てろよっ!』

嵯峨放浪記

今日の目的地、京都嵯峨嵐山

その前にまずは朝食。
パン屋さんのイートインで、カレーパンにいちご味のスコーンにタルトケーキとカフェラテ。
食べ過ぎやろ!
だって美味しそうやってんもん。
実際美味しかった。(o^_^o)
ただ最後に食べたタルトが胸に来た。
(>_<)
う~、胸焼け。
アカン、しんどい。
悲しきかな52歳。
嵐山で美味しい抹茶スイーツ食べるはずやったのに。
胸焼け取れずスイーツ食べられず。
何やってんだか。

そして天龍寺

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10年くらい前に農業委員の旅行で来たはずやのに、全く新しい印象。
こんなに庭素晴らしかったっけ?
枝垂れ桜の木の立派な事!
これが咲いたらさぞかし綺麗やろなぁ~。
見たい。
でも桜が咲く時期は、もう田んぼが忙しいんだ。
なかなか桜を見に行く余裕がない。
それに桜の時期の天龍寺なんて、死ぬほど人居るやろな。
桜見てんだか、人見てんだか、みたいな混雑やろな。
あ~それでも見たいな。
うん。今年は何とか一日予定を空けよう。

そして本来の目的地、車折神社

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車折と書いて〝くるまざき〟って読むんや。
ずっと〝くるまおれ〟って読んでたわ。

ここまでは何とかかんとか順調やったのよ。
多少迷いはしたけど。

車折神社からの帰り。
目の前の車折神社駅のホームから嵯峨に戻るのに、徒歩ならどれくらいなのかNAVITIMEで調べたら10分と出た。

「10分か…。10分くらいなら歩いて行けるな。」
なんでこう思ってしもたんやろか?
10分。
それはスムーズに行けた場合の所要時間。
とりあえず電車で来た方向に線路沿いに歩けば辿り着くはず。と歩き出す。
この時点でまだ胸焼けしてたから、お腹減らすのに丁度良い。
10分10分、そう10分。

しばらく歩くと道が線路沿いから離れてしまう。
「あら。どうするよ。」
あっちに車が一杯通る主要道が見える。
「あ、あれやな。」
方角的にはこっちのはず。
しばらく歩く。
「今どの辺まで来たんやろ?」
再びNAVITIME
雷電嵯峨駅まで20分。』

「なんでっ?」
「さっきより時間増えてるやんっ?」
「歩き出した方向が違ったちゅーこと?」

もうこうなると何が何だか分からない。
って言うかそもそも、あたしは何処に帰りたいの?
嵯峨?京都?
京都駅のコインロッカーに荷物預けてあるから、京都駅に帰りたいのよ。
なんで嵯峨に戻ろうとしてんの?
だいたいJR嵯峨嵐山駅雷電嵯峨駅が頭ん中でごっちゃになって、経路図が描けない。
アカン。歩くのは諦めよう。
バスやバス。
さっきバス通ってた。
現在地から一番近くのバス停🚏目指す。
ただ超絶方向音痴にとっては、バスってのがまた難敵。
道のどっち側のバスに乗ればいいのかが分からへん。
さっき通り過ぎたバスの行き先に「京都」って出てた。
あれに乗りゃあ良かった。
でも、という事はこっち側やな。
ただバス停の時刻表の最終目的地が京都やないのよ。
京都四条なのよ。
四条ってこっからやと、京都駅より向こう?手前?
悩んでたらバスが来た。
このバス乗って大丈夫?もうでも歩き疲れた。
えーい、乗ってまえ!

バスってどうやってお金払うんやったっけ?
へぇ~、料金一律なんや。
車社会の滋賀県民にとってはこの辺から未知の世界。
あたしだけ?
行き先案内表示に目を凝らす。
京都駅ではないよなぁ。
どうする?どうする?
すると、バス停の名前何やったか忘れたけど(もう忘れたんか)、カッコ書きでJR円町駅と書いてるバス停の案内表示。
円町駅って、来る時通過した駅。
降りよう。ほんで円町駅から京都駅に戻ろう。

この判断が合ってたのかどうかの検証もしたくない。
しんどい。
もしかして、車折神社から電車に乗ったら京都戻れたりしたんちゃうん?
調べ直す気力もないわ。

ほんでまたバス停からJR円町駅までちょっと離れてるねん。
もうNAVITIMEに頼るとロクな事ない。
こういう時は地元の人に聞こう。
それがきっと一番。
ほんで散歩中らしいおじさんに聞く。

「JR円町駅円町駅…。多分そこ下がって行ったとこやで。」

「多分……?」
なんか、怪しいないか?
ちょっと疑いながら歩き出す。

下がって行ってもあらへんがなっ💢
なんやねん、あの親父!
知らんなら知らん言えよっ!

結局NAVITIMEや。
バス停降りた時に調べたら駅まで3分やったのに、今、駅まで10分なってるやんっ!
ホンマ、あの親父~💢

どうにかこうにか円町駅に辿り着いた。
疲れた。なんかもうホンマに疲れた。

京都っぽい、可愛い和柄の便箋買いたかったのに、もうそんなんどうでもいい。
早よ帰りたい。

こうしてあたしは疲れ切って家に帰って来た。
さっきかかった交通費計算したら、野洲駅に停めてた駐車場代1600円含めて、6300円程かかってる。

滋賀~なんば~嵯峨~京都~滋賀。

こんな遠かったっけ???

誰か、方向音痴が治る神社かお寺あったら教えて!