入店半年と、勤続16年

30代の時のあたしは、かなり実年齢より若く見られた。
40代になると、「エーッ!40代なんですか?」とびっくりされた。
50代になったら、実年齢を言ってもびっくりされる事はほぼ無くなった。

けど、オムロンの体重体組成計に乗ったら、体組成計年齢45歳って出るで。
まぁあんなもん、裸足で乗っただけで、一体何が分かんねん。と、毎回思うが。

見た目が実年齢に追い付いたのか?
自分で見てても、「あたし老けたなぁ…。」と思う事が増えた。

自分で思う分には、まあ、いい。
でもこれが周りにどう見えてるのかとなると、ちと訳が違う。
俗に言う『おばさん扱い』にまだ慣れない。

慣れないから、ちょっと心がヒクつく。
今日そんなヒクつく事が起きた。

お店のレジカウンター内で座り込んで作業をしていた。
そこに、「ちょっと、あのよ。」と声を掛けられた。
「はい。」と立ち上がったあたしを見て、そのお客さんは「あ、ちゃう。」と言った。

「ちゃう。」って何?
なぁ、「ちゃう。」って何?

そして、気まずそうにその場を離れたお客さん。

「単純にスタッフを見間違えたのか?」
でも、一応担当部門はあるが、ゲームもセルCD やDVD も、レンタルもコミックや雑誌も、2階フロアに置いてある物は、どのスタッフも聞かれたら対応するようになっている。
なので個別指名みたいな聞かれ方はほぼないのだ。

そのお客さんを目で追っていると、ぐるーっとレジの周りを遠回りして、バックヤードから出て来た、只今当店イチ押しの笑顔の可愛いNちゃんのレジの前に並び直したのだ。
(しかし、当店イチ押しと書くと、途端にキャバクラっぽく聞こえるのは何でだろう?)

そして、こう聞いた。
「なぁ、準新作も1週間借りれるの?」

オイッ!おっさんっ!
それくらいあたしでも分かるわ!
あたしでも答えられるっちゅーねんっ!

なんなら、N ちゃんは当店入店まだ半年や。
あたしは勤続16年やねん!
微に入り細に入り淀みなく
「はい、1週間借りられます。」言うたげるわ。

「オラオラオラぁ~。おっさんよぉ!」

と、心の中でそのおっさんを軽く踏み倒しておいた。

負けるな、めげるな、くじけるな。
今日も明日も明後日も、勤続16年の知識をもって、力一杯働くぜ。

ちなみにお客さん。
「N ちゃん 、 もう人妻やから。」
「ちょっかい出してくんなよ。」