混戦のM-1グランプリ その③
さあ、いよいよ最終決戦!
1位 おいでやすこが
2位 マヂカルラブリー
3位 見取り図
第1ラウンドの順位、3位からの出番順。
見取り図にとって、この最終決戦でのトップバッターという順番は、とても良かったのでは無いかと思う。
みんなトップバッターだけは嫌だと思うかも知れないけど、この3組だと、おいでやすこがさんやマヂカルラブリーの後だと、悪い言い方をすれば〝会場が荒れている〟後に出て行く事になる。
この3組の中では一番オーソドックスな喋くり漫才の見取り図。
おいでやすこがさんやマヂカルラブリーの後だと、会場のお客さんがじっくり聴くという態勢が取れない内に始める事になってしまう。
ただ見取り図にとって、最終決戦に進むのは初めて。
3回目のM-1グランプリと言っても、最終決戦はまた違う緊張感があるはず。
見取り図、かなり早い。
相当、早口。
やってやるぞと言う気合が普段のテンポより一段二段上げてしまったか。
この辺の気持ち、後でらじこー聴いてみよう。
見取り図と言うと、どうしてもイジりやすいモリシのキャラクターに触手が伸びる。
〝イジられキャラの権化〟みたいなもんなんだから、仕方ないのだ。
オマケにあたくし、リリー君にブロックされてる。
「ド素人にイジられるのは腹立つよな、そりゃあそうよな。」
なので、あんまりこのブログではリリー君については書かないと決めていたのだけど。
でも、一度ちゃんとリリー君について書いておこうと思う。
見取り図の魅力についてよく〝ワードセンスの素晴らしさ〟ってのが出て来る。
それは勿論。
何の異論も無い。
そのワードセンス溢れるツッコミを発しているのがモリシなので、モリシに目が行きがち。
でもそのワードセンス溢れるツッコミを炸裂させる前のリリー君の何とも言えない飄々としたボケがあるからこその気持ち良さなのだと思う。
演技力、身体表現の巧さ。
この面においては、リリー君は上手い方では無い。
むしろ下手な方だと思う。
でも、その下手さ加減が絶妙な塩梅なのだ。
東京ホティソンやウエストランドを観ていて少し気になった、ツッコミとボケのバランスの差が、見取り図においては無い。
ネタの流れから全く関係ないボケ(動き)に入るリリー君。
観ている観客は、「うん?何?」と一瞬思う。
でもその動きが下手ウマな味があって、且つ可愛い。
「ふふ…。」と一瞬観ている側がほわんとした後に、モリシの素っ頓狂な甲高い声でのツッコミが入って、「ああ確かにっ」「そういう事か!」って気持ち良さも含んだ笑いが弾けるのだと思う。
これがもし、演技も身体表現も達者なアキナの山名君とモリシのコンビだとしたら、山名君の動きや顔の表情に見入る瞬間のアクセントが強過ぎて、見取り図としての流れが上手く流れない。
こういうリリー君の様な、計算してるんだかして無いんだか良く分からない、掴み所の無い飄々とした感じって、努力して生み出せるものでは無い。
本人自身から漏れ出る魅力なので、誰かが取って代わって真似しようにも絶対出来ない。
モリシとリリー君。
絶妙の妙。
ある意味、奇跡。
2番目に登場したマヂカルラブリー。
『吊革に掴まりたくないネタ』
ただただ舞台の上で転げまくる野田クリスタル君。
もうアホ臭いっ!
バカバカしいっ!
何なんだ、これっ!
後からくっ付ける理屈が意味を為さない。
無茶苦茶に笑ってしまう。
涙流してコメント出来ない今田さんのリアクションが全てを語っている。
準決勝のライブビューイングで観た時も、しこたま笑ってしまったんだけど、あの時には気付かなかったツッコミの村上君の巧みさ。
録画しておいたのを何度も巻き戻して確認しながら書いているのだけど、その作業を続けてると、村上君のツッコミの上手さが徐々に浮き上がって来る。
野田クリスタル君は立ち上がったり、次の場面に切り替わる動きに入る時も、一切喋らない。
ずーっと動きっ放し。
その動きを説明しつつ、説明台詞には決してならないツッコミ。
言葉の選択は二人で考えたんだろうけど、間を外さない、計算し尽くされたツッコミ。
声の抑揚も上手い。
かなり稽古して来たんだと思う。
村上君の上手さに今回気付けた事が、あたしにとってはかなり大きい収穫だった。
そして、準決勝のライブビューイングで観て以来、ずっと一貫して優勝候補にあげているおいでやすこがさん。
それぞれのピンネタを合体させた様なスタイル。
オマケにほぼ同じ背格好に眼鏡。
見た目のシンクロ率も抜群。
そして、こがけんさんが歌が上手いんだ!
それも嫌味にならない絶妙な上手さ。
ほぼずーっと歌ってるこがさんにツッコむ小田さんの最初の「覚えられへんッ!」で爆笑!
「待ってましたッ!」の弾け方。
もう小田さんがどうツッコんでくれるんやろ?って、ワクワクして待ってしまっている。
ただ1本目に比べると、頭に比べると終盤が少し弱いかなぁ…。
尻上がりにウワァ~と上がって行く強さみたいなものがちょっと弱い様に感じた。
いよいよ審査タイム。
これは難しいっ!
ここ何年かで一番難しいかも。
結果はこうなった。
見取り図 2票。
おいでやすこが 2票。
マヂカルラブリー 3票!
まさしく、混戦。激闘。
そして、またしても松本さんが入れたコンビは優勝しないジンクス継続!
マヂカルラブリーが最終決戦では一番ウケ量が多かった。
そういう事なんだと思う。
あたしも納得。
これが2、3年前なら納得していなかったかもしれない。
喋くり漫才が好きなあたしは、『M-1グランプリのMは、漫才のMとちゃうの?』って気持ちが強い。
マヂカルラブリーは文句無しに面白かった!
でも、これを漫才として呼んでいいのか…?
そういう議論が起きるかな…とも思う。
でもM-1グランプリをずっと観て来て、あたしなんかの狭い考え、小さい知識、変なこだわり。
そんなものがこれだけの多種多様な素晴らしい漫才を観せてもらっている内に、何処かへ行って、もう敬服以外の感情が沸いて来なくなった。
色んな形の漫才があっていい!
とにかく日本の漫才は素晴らしい!
「最下位取っても優勝する事があるんで、諦めないで下さい。皆さんっ!」
マヂカルラブリー。
おめでとうございます!!
改めて、番組スタッフの皆さん、関係者の皆さん、何より漫才師の皆さん。
本当に本当にありがとうございました。
「あ~無事に開催されてホンマに良かった。」
お疲れさんしたっ!
木﨑君。
来年頑張れっ!!