高校野球とこんにゃくとシチュー。
選抜高校野球が今日開幕した。
前にも書いたが、うちの母上は高校野球が大好きなんである。
プロ野球には全く興味が無いのに。
あたしが阪神戦を見ていると、「プロ野球は嫌いや。チャンネル変えてくだい。」と言うて来る。
だからと言って、高校野球とプロ野球の違いなんてほぼ分かって無い。
「プロ野球はルールが違うで見てても分からへん。」とか言うのだ。
プロとアマの違いはあっても、野球のルールは基本同じですがな。と思ってあたしは聞いている。
多分、高校野球の野球と言う競技の面白さより、一生懸命白球を追う球児の姿に魅力を感じているのだと思う。
それはいい。
大して野球に詳しく無い人達って大方そんなもんだ。
でも、うちの母上、ルールは全く分かって無いが、それはそれは高校野球を楽しみにしているのだ。
もうここ20年くらい、大会前にスポーツ欄に載るトーナメント表を切り取り、結果を書き込んでいる程に。
高校野球の試合が白熱して来ると、美容室の予約をキャンセルしたりする程に。
そのくせ母上との会話ではこんな事が起こる。
あたし「お母さん、今日から高校野球始まるで。」
母上「今日から?」
あたし「うん。9時からしやるわ。」
母上「何で今頃しやるえ?高校野球て毎年夏にしやるもんやんけ?」
ズルっ。⤵️
あたし「何言うてんのな。去年の秋の大会で良い成績やった高校から選ばれてやるのが春。都道府県の大会勝ち上がって出て来やるのが夏の大会やん。」
母上「ほうかいね。」
あたし「毎年毎年無茶苦茶見てんのに、まだそこ分かってへんのかいな。」
母上「滋賀県どこが出やるえ?」
あたし「滋賀県は出てない。」
母上「何で?」
あたし「去年の秋の成績が悪かったし。」
母上「コロナやったしけ?」
あたし「コロナは全く関係ない。」
疲れる。
一事が万事こんな感じなのだ。
あたしはフィギュアスケートが大好きで、それはもう渡部絵美さんの時代から、地上波放送からBSまで、漏らす事無く全部チェックしている。
母上も大好き。
あたしが録画を見ていると必ず一緒に横に来て見る。
だから母上のフィギュアスケート視聴歴もかなり長い。
なのに、ショートプログラムとフリープログラムの合計得点で優勝が決まると言うルールがなかなか理解出来ない。
スポーツ好きの人なら分かってもらえると思う。
自分が熱を持って見ている途中で、「はあ?」と思う様なトンチンカンな事を質問されて、気分を削がれる時のイラ立ち。
でも相手は、この家に嫁いで来た時から田んぼと畑仕事を朝から晩まで続けて、テレビをゆっくり見る事も、音楽をのんびり聞く事も、ほとんどして来なかった83歳の老人なのだ。
怒るのはなんだか可哀想では無いか。
なので、毎回それなりの説明はする。
その説明が記憶に残る事がほとんど無いとしても。
そして仕事から帰って、母上が作っておいてくれた晩御飯を食べ、後片付けをしている時に冷蔵庫を開けて発見するのだ。
氷温室に入れられてコチコチに固まっているこんにゃくを。
アイスノンの様になっているこんにゃくを掌に乗せて、溜息を一つついてそっと冷蔵庫に戻す。
何度言っても鶏肉では無く、豚肉を入れて作ってくれるシチューの残りの横に。
うちの冷蔵庫はカオスの香りがする。