棒と坊。
録画しておいた『THE MANZAI』を見ていた。
若手からベテランまで、実力派の漫才師が次々登場する豪華な番組。
あたしがコタツに入りながらゆったり見てると、珍しく母上が隣にやって来て一緒に見始めた。
いつもは「こんなんの何がおもろいえ?」と、全くお笑い番組にも漫才にも興味を示さない母上。
それが、ミルクボーイの漫才を見ながら、ケタケタと笑っていた。
「へぇ~、ミルクボーイの漫才は80歳代のお婆ちゃんにも、ちゃんとウケるんや…。」
と、珍しい光景にちょっとびっくり。
それぐらい、うちの母上はお笑いに興味が無い。
なんなら、ちょっとバカにしている。
そんな母上をケタケタと笑わせたミルクボーイのネタは、twitterのトレンド入りもした、うまい棒のキャラクター〝あいつ〟の事が思い出せないってネタ。
ミルクボーイの漫才のシステムの中でも、最後まで〝あいつ〟で終わる、固有名詞が出て来ないちょっと攻めたネタ。
個人的には、
駒ちゃん「あいつには妹がおるらしいねんな。」
内海君「う~~ん。知らんっ!」
で、爆笑。
めっちゃ笑った。
母上も笑っている。
そして、ひとしきり笑ってミルクボーイのネタが終わった時、母上はあたしにこう聞いた。
母上「あいつあいつて、誰の事言うてやるえ?」
あたし「へ?」
その肝の部分が分からんと、あんなに笑ってたんか!
逆にその方が難しいやろ。
あたし「うまい棒ってお菓子の袋に描いたーるキャラクターの事よ。」
母上「お菓子?菓子の事け?」
あたし「お菓子そのもの違って、その袋に描いてあるキャラクターの名前が思い出せへんってやり取り。」
母上「ほれはうまいぼうて言うてやるやんけ。」
あたし「ほやから、うまい棒の袋に描いてあるキャラクターの事なんやて。」
もう堂々巡り。
オマケにどうも話が噛み合わない。
絶妙に何と言うか、話がズレまくる。
よくよく聞いてみると、母上は、〝うまい棒〟ではなく、〝ウマイ坊〟と言う坊やの話をしていると思っていたのだった。
う~~ん。
合ってるような、ちゃうような。
いや、ちゃうな。
そこから、うまい棒についての説明をしたけど、うまい棒を食べた事の無い母上には、理解のしようが無く、全くの無駄な労力に終わり、最後にこう言った。
「ふ~ん。知らん。」
ところで、ミルクボーイでは無いけど、確かにうまい棒のキャラクターってハッキリ思い出せない。
調べる。
こんなんやった。
名前は〝うまえもん〟
ええーっ!
こんなんやったっけ?
こんなドラえもん丸パクリのバッタもんみたいなキャラやったっけ?
口むっちゃ開けた男の子違った?
あれ?
あ、ちゃうわ。
あれは、ガリガリ君や。
ずーっと、ミルクボーイの漫才聞きながら、頭ん中でガリガリ君思い浮かべてた。
こういうのを、似たもの親子と言うのか。
昭和11年生まれの母上とたいして変わらん。
ただ今、54歳。
もうすぐ55歳になります。
ゾロ目だぜ。