あたしんちのお正月
あ~まったり。
2日、3日と連休。
ゲーム売り場ってのは、元旦よりも2日、3日の方が忙しい。
お年玉持って、お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんに連れられた子供達が買いに来るから。
でもあたしは、ここ10年くらい前から必ず休む。
だって
箱根駅伝見なアカンから。
お正月三が日は、主婦パートさん達は帰省したりして、ほとんどの人が休むので、どうしてもシフトが薄い。
店長「〇〇さん、2日か3日どっちかだけでも出てもらえませんかねぇ?」
あたし「すみません。その二日は毎年無理なんです。」
店長「あ、やっぱりお正月は忙しいですよね?」
あたし「いや、別にほ-ゆー訳やないねんけど、箱根駅伝見なアカンので。」
店長「え?……箱根駅伝ですか?」
あたし「はい。箱根駅伝見なアカンし、仕事してる場合ちゃうんです。」
店長「…そう…なんですね…。分かりました。」
あたし「そうなんです。(^^ゞ」
この10年で店長は今の店長で5人目かな?
店長が変わる度に、年末に繰り返されるこのやり取り。
もうえー加減、店長交代時の申し送り事項として付け加えといてくれたらええのに。
「〇〇さんは、お正月2日、3日は箱根駅伝で出はりません。」
あ、これやとあたしが箱根走るみたいやな。😁
今のところ、「そんなん休む理由になりますか?!」と、勇気を出してあたしに言って来た店長はいない。
お局様も悪くない。
毎年このどちらかに、お姉ちゃん夫婦が帰って来るので、みんなでお昼ご飯食べながら見る。
今年はカニ鍋。
これぞ日本のお正月。
こういう時、兄弟がお姉ちゃんというのはものすごく楽。
お客さんなのに、いつも台所を手伝ってくれる。
二人共主婦歴約30年のベテランなので、あたしは洗い物や片付けに回る。
それが一番上手く回るもんで。
小さい頃はお兄ちゃんが欲しくて欲しくて堪らなかった。
上のお姉ちゃんの前に、お母さんは最初に身ごもった子を、田んぼが忙しくて今は子育て出来ないからと堕胎している。
そして次身ごもった子は農家待望の男の子。
でも、出産後一日ももたず亡くなっている。
だからあたしはお母さんのお腹に宿った5人目の子供。
本当はお兄ちゃんが居て、でもすぐに亡くなったと知ったあたしは、お父さんにこう言った。
「なんでお兄ちゃん死なせてしもたん?あたしお兄ちゃん欲しかった。」
子供は残酷だ。
農家にとって、跡継ぎの長男を亡くすという事がどれほどの痛みかなんて気が回らない。
でも、お父さんは間髪入れずにこう言った。
「ほんなもん、ボンが生きとったらお前みたい産んでへんでよっ。」
「ほらほやっ!」
ほらほやわ、お父さん。
ミョーに納得して、もう二度とお兄ちゃんが欲しかったとは言わなくなった。
でもやっぱりお兄ちゃん欲しかったな。
「なあなあお兄ちゃん、あんな、ほんでな…。」
「どこ行くん?あたしも行く!」
ウザがられない程度に可愛い妹になる自信あってんけどな。
ウザい?ウザいかな?
ま、妄想なんで自由ですわ。