ピンスポット

嵐の来年末での活動休止発表。

街頭インタビューで、「嵐よりも、日本中の女性が心配。」って答えてる人が居たけど、上手い事言う。

あたしはまず最初に、いつもうちのお店で嵐のCDやDVDを予約して購入してくれるお客さん達の顔が浮かんだ。
「みんな大丈夫なんやろか?」
熱心なファンは、ファンサイトで公式発表があると同時に予約に来てくれる。
お店の予約データのアップよりも早いから、仮予約入れる形で対応する程。

でも、あの会見で「解散ではない」って、ファンに対して語った言葉に嘘はないやろうし。
それにしても嵐って、超超セレブ芸能人のはずやのに、誰一人偉そぶらず、ユーモアもあって、他人に対して優しくて。
なるべくしてなったスーパーアイドル。

でもまだいいよ。
活動休止まで約2年ある。
その間、精一杯応援する事が出来る。

紳助さんの吉本退社&芸能界引退の時は、もう衝撃過ぎて心の準備もへったくれもなかった。

紳助さんはあたしにとって、異性としての対象とかアイドルとかとは全く違って、心の師匠みたいな存在やったから、嵐と同列には語れへんけど。

あの黒い噂が、雑誌やゴシップニュースとして世間を徐々に騒がすようになって、
「真相はどうなんやろ?」
「まさかこれでクビとかないやんな。」って不安になって。
でも、仮に接触があったとしても、吉本にとって大功労者の紳助さんを吉本が切るはずないよね?
あのマネージャー殴打事件の謹慎も、記事が正しければ、吉本の社長の悪口を言ったマネージャーを許せずに手が出てしまった訳で。
言ってみれば吉本への愛情とか恩恵への感謝の気持ちがあったからな訳で。
不安になっては、いやいや大丈夫。の繰り返しやったな。
それが突然会見になって、吉本退社どころか、芸能界引退って…。
テレビの前で呆然とするしかなかった。

こうと決めた時の紳助さんは潔い。
あー、これはもう本当に紳助さんをテレビで観る事はなくなった、そういう事なんや…。
2、3年経ってほとぼりが冷めた頃に復帰。
そういうシナリオはない。

「なんで?なんで?」
「紳助さんはそれでええよ。けど、あたしらはどうしたらええの?」
会見の間中、グルグル頭を巡った問いかけ。
でも、これしか仕方無かったんや。
そう。きっとこれしか方法が無かった。
無理やりの自分への言いきかせ。

ただ問題が問題なだけに、今まで「紳助さん、紳助さん」って持ち上げてた人達が、サーッと引いて行ってしまうんやろう。
でも、それでもきっと紳助さんは、
「もう俺に近付かへん方がええ。」
「お前らはお前らでしっかり頑張れよ。」
きっとそんな事言うてはるんやろな。
あたしの見えない場所で、あたしの知らない世界で、幕引きをして行かはるんやろうな。
想像して、想像しか出来なくて、時間が流れて、テレビから紳助さんが消えた現実と、それでも回って行く現実と。

今のあたしは、劇場でお腹抱えて笑った帰りの電車の中で、
「なんで紳助さんの番組の観覧とか行っとかへんかったんやろ…。」って、ボーッと考える時がある。

あの才能に触れておきたかった。

きっと自分の大切な人達を笑わせて笑わせて、自分も笑い転げて…。
やたら涙もろかった紳助さん。
笑いながら右手で目の辺りの涙拭ってはる。
そんな毎日であってくれたらいい。

こんな風に思えるのに時間はかかった。

芸能界を去ってまで、ファンの想いを背負う必要はない。
それでもそれでも、もしまたいつかテレビで観れたなら…。

嵐の会見は、あたしの中の執着に
一瞬ピンスポットを当てた。