ZIP の復讐
『リモコン無双』のタイトルで書いたブログの中で、ZIP の事をクソミソにこき下ろした。
それで思い出した。
あたし、ZIP の せいで冷や汗かいた事がある。
今は出演者もコーナーも変わってしまったけれど、当時『ZIP でPON』というコーナーで、曜日別出演者が毎日ゲームに興じてた。
例えば輪投げなら、輪っかが通る数を
①0個
②1個~3個
③4個~6個
④7個以上
ってな具合に視聴者にゲームの予想をさせ、d ボタンで投票させるのだ。
なんか、ZIP ってやたら視聴者に投票させるのよ。
あたしはこれがどうにもこうにもよ~分からんのだ。
朝の忙しい時間に、いちいち投票したりする?
しかも、ゲームの結果を予想するって、輪っかが入るのが0個だろうが、6個だろうがどうでもええではないか?
そんな暇な人が居て…、居て…、居てるのだっ!
何万人もっ!
すっごいな!
どんだけ入り込んでんの?
それは何?
曜日別出演者のファンやから?
毎日毎日この現象が不思議で不思議でしょうが無かったあたし。
そんなある日。
ある催しに知り合いのNさんを乗せて、あたしの車で向かった。
大阪出身で結婚を機に滋賀県にやって来たN さん 。
大阪出身だけど、わぁーっとはしゃいだり、ボケたりする人ではない 。
大阪人というよりは、滋賀県民っぽい。
でも、その暑苦しくない感じが一緒に居てても楽ちんだった。
ただ、二人きりになるのはほぼ初めてで、特に会話しなくても全然平気というまでの関係性はまだ築けていなかった。
そんなN さん と約40分のドライブ。
〝なんか話さなきゃ…。〟
一種の使命感で、他愛ない話をあたしなりに一生懸命していた。
どんな話の流れだったかもう忘れてしまったけど、朝どのテレビ番組を見ているかという話になった。
関西人はここで5択に分かれる。
でもあたしの周りは、おは朝の6チャンか、すまたんZIP の10チャンかの2択だった。
N さん はあたしと同じ10チャン派だった。
俄然話が盛り上がる。
いい感じだった。
途中までは。
あたしはあの『ZIP でPON 』の話をした。
あたし「けど、あのZIP で PON ってあるやないですかぁ?あれ毎回毎回誰が投票してんねんろ?思ってぇ。よっぽど暇なんちゃうか思うんですよぉ。」
N さん 「…え…、あたし、してる。」
あたし「えっ?」
N さん の顔、ガン見。
N さん 「あたし投票してる…。」
あたし「あ、あ、そうなんですね。へぇ…。」
そっから、どんだけ気まずかった事か。
これが電車の中とかなら、まだ何とかなる。
けど、車の中なのだ。
しかも二人きりで。
あたしは運転手役を買って出て、人を助手席に乗せる事がよくあるのだけど、 なるべく会話を楽しむべく、特に音楽も掛けない。
でもこの時はそれが思いっ切り裏目に出た。
「……シーン。」
「シーン。」って無音が音になって響いてる気がした。
まだ目的地まで、あと半分くらいあって、そこからどうやって空気を変えたのか覚えていない。
ただただ、「しまった。マズった。」と心の中で繰り返していた。
N さん も何万人もの内の一人だったのだ。
あたしの方が少数派なのか?
普段、ちょくちょくZIP に切り替わるのが鬱陶しくて、ブツブツ文句言ってたあたしにZIP が復讐して来たんか思った。
次の日。
そんなに気持ちが盛り上がるもんなんか思って、d ボタン で 参加してみた。
『面倒くさかった。』
あたしはどうやらZIP と相性が悪いらしい。
ずっと、最初から最後まですまたんでいてくれたらいいのに。
ちょこちょこ切り替わるZIP の画面を見る度に、あの無言の車の空気が甦って、朝が辛い。
d ボタン なんて無くなればいい。