おぼん・小盆・お盆。

お盆である。

田舎のお盆は忙しい。

お仏壇にお位牌を掃除して、野菜やスイカをお供えし、おしょうらいさん(浄土宗で言うご先祖様)をお迎えに行き、三日間その日を消してしまわない様お守りして、最後その迎え火と共に送って行く。 

お仏壇にお供えする野菜はだいたい何か決まっているのだが、わが家の場合ほぼ自家製だ。

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イカは勿論、スイカの上に乗ってる細長い豆(何て名前の豆なんやろ?)も、お盆にお供えする為だけに作っている。
それどころか、野菜の下に敷いている桐の葉までうちんちのだ。

桐のタンスのあの桐である。
裏庭に自生してるのか、お盆の為に植えたのか、なんせ桐の木があるのだ。
一生もんと言われる桐のタンス。
もの凄く硬いしっかりした木を想像するかもしれないが、桐の木って無茶苦茶柔らかい。
ノコギリで簡単に切れる。
一年でアホ程伸びるので、毎年お盆が終わったら、全部枝を払ってしまう。
勿論これもあたしの仕事。

今年お母さんは、いつもの縞のスイカではなく、黒っぽいスイカを作った。

昨日の朝
「無茶苦茶大きいスイカが採れた。烏にやられるとかなんさかい、全部持って帰って来た。」
「仏さんに進ぜるのは小さいのでええさかい、一番大きいのがどんなもんか、一回食べてみるさかい、蔵にあるで持って帰って。」
と言われた。

それで米蔵に行ってみると、ホンマにアホ程デカいスイカが二つ。
まあまあデカいスイカが三つ。
その内のアホ程デカいスイカを1個家に持って帰る。

「重た…。」
よぉ、こんな重たいスイカ、畑から持って帰って来たな。
計ったら5キロを超えていた。

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今朝、さぁ仕事に行こうと思ったら、お母さんがあたしが持って帰って来たこのバカデカいスイカを見て一言。

「何でこんな大きいスイカ持って帰って来たや?こんなん仏さんに進ぜられへんやないかいなっ!ほんな事が分からんかっ!」

はぁ?
またや。
自分が言った事をすっかり忘れてしまっているお母さん。

思わずお母さんに指を差しながら、
「どんなもんか一回食べてみるさかい、大きいスイカ持って帰ってって言うたんお母さんやがなっ!」と、反論する。

すると、ちーっとも悪びれず
「ほれやったら、仏さんに進ぜる小さいスイカも持って帰ってくれなアカンがな。」

………。
はい、はい、はい。
分かりましたとも。
こんな事は日常茶飯事なのだ。
怒るだけエネルギーの消費の無駄だ。

仏さんに進ぜる野菜は、わが家の自家製と書いたけど、今年とうもろこしは烏にやられて全滅した。

あんな垂直に立ってるとうもろこしを、烏は無茶苦茶器用に食べる。
とうもろこしの実のすぐ下の部分を嘴でこついてへし折る。
直径2~3センチの茎は地面から垂直に立ってるまま、実の部分が折れ曲がった状態にして、その実の部分に乗っかってこつくのだ。

「いい感じに育ったな。もう一日置いといて、明日収穫しよう。」
そう思ったその昼間にやられるのだっ!
なんぼ腹立つか。

それで今年は一本も収穫出来なかった。
なので、スイカの手前に置いてるこのとうもろこしは近所の人から分けてもらったものだ。

それが、3軒から合計8本のとうもろこしが集まった。
きっと、イヤ絶対に、
「烏にやられて全部アカンかったさかい、分けてもらえへんやろか?」
こう声を掛けて頼んだのを忘れて、別の人に同じ事を頼んだのだ。
絶対。

8本もいっぺんにどうするのよ?

さや香、石井君。
なんやったら、送ったろか?

まあ、その頃にはすぼってまうから、止めとくわ。

シンプルに塩茹でして食べよう。
これが一番美味しい。

あのドデカいスイカの味や如何に?
明日、食べよう。