シリコンの寿命
今日はCT 検査の為に加藤クリニック来院中。
去年の10/9に受けたCT 検査で 、右肺に影があるとの診断を受けた。
腫瘍かもしれないし、炎症痕かもしれない。というなんだかどっちつかずの検査結果。
様子見でまた3ヶ月後CT 撮りましょう…、で本日。
肺に腫瘍があるかもしれないのに、3ヶ月も放っておくのかと思う人も居るかもしれないけど、まあ先生が3ヶ月後でいいと言うならそんな切羽詰まったもんではないんだろう。
あたしは対人関係なんかには結構神経質だけど、これが自分の身体の事になると、物凄い無頓着且つ能天気。
でも、この無頓着且つ能天気には結構助けられている。
乳癌の診断を受けて、左乳房を全摘出したのが48歳の10月やったから、もう4年と3ヶ月経った。
早っ。
全摘出した後、乳房の再建手術を受けた。
今でも気温なのか気圧なのか何が関係してるのかよく分からないけど、皮膚が突っ張れる様な違和感や、ジンジンジンジンする日がある。
でも、別に生活に支障は無いし、特に何とも思わない。
乳癌の治療中に知り合った人の中には、物凄い神経質な人も居て、
「脇が痙れる様な感覚があるんですけど、大丈夫ですか?」
「手術した痕がジンジンしたりするんですけど、これ本当に大丈夫ですか?おかしくないですか?」
こんな風に先生を質問攻めする人も居てる。
でも、多分先生も答えようが無いと思うのだ。
個人差はあるし、身体にメスを入れて病原体を取り除き、何針も縫っているのだ。
ほら、痙れる事くらいあるよ。
とは言え、ただの外科手術では無く癌を取り除く手術なのだ。
「もし取り残しがあったら…。」
「この痛みは転移…?」
不安に思うのも当たり前。
「そんなん大丈夫ですってぇ。」
なんて事は口が裂けても言えなかった。
でも、もし転移してたらどうしよう…。
次の検査の結果が悪かったらどうしよう…。
怯えて毎日暮らすのと、日々目の前で起きる事に、笑って呆れて驚いてあーだこーだ言いながら暮らすのとでは、全く違う生活になると思う。
笑ってなんぼだ。
と、もっともらしく〝行き当たりばったり人生〟を肯定してみました。
今朝は物凄く寒かったので、(6時に外の温度計見たら1度やった!)やっぱりちょっと左乳房に違和感がある。
再建手術をしてシリコンを入れて、経過観察の為に通ってた武田病院でのDr.松との会話が忘れられない。
Dr.松「どうですか?何か不安とか聞きたい事ありますか?山田さんはいつも何にも言わないから、逆に大丈夫なんかなと思っちゃうね。」
あたし「う~~ん。そうですね…。この後はどういう流れになるんですか?通院とかは…?」
Dr.松「来たかったら来たらいいし、もう大丈夫と思うならもういいですよ。」
あたし「シリコンのメンテナンスと言うか、このまま放っておいたらいいんですか?」
Dr.松「シリコンの寿命がだいたい10年と言われてるので…」
あたし(心の声)「え?10年?」
Dr.松「固くなって形がいびつになったり、破れたりしたらまた新しいのと入れ替える必要があります。」
あたし「一生行けるもんじゃないんですか?(寿命10年なんて初めて聞いたっ!10年後また手術せなアカン訳?)」
Dr.松「そうなりますね。」
あたし「10年経ったらどうなるんですか?縮むとか?」
Dr.松「う~ん、再建手術自体がまだ新しい手術なので、10年経ったらどうなるか、症例が無いので分からないんだよねぇ~。」
あたし「(心の中で思いッ切り)エエッ!分からんのっ?」
マジかっ!
聞いてへんっ!
言うといてくれよ!
シリコンの寿命10年?
ほしたら、またあの痛い痛い再建手術受ける訳?
死ぬ程痛かったちゅーねんッ!
再建手術。
全摘出手術は術後も耐えられる痛みだった。
乳房が丸々無くなり、あばら骨に皮が張り付いている外観に心は折れるが。
でも1週間で退院出来たし、2週間後には職場復帰した。
んが、再建手術は死ぬ程痛かった。
全摘出手術から10ヶ月後に受けたんだけど、もうあばら骨の上にうっすら筋肉みたいなもんも出来て、皮膚も乗っかっている。
その骨と皮膚の間を削いで、エキスパンダーという仮のシリコンパックみたいな物を入れる。
麻酔が切れて動こうとしたら、胸を重度の火傷したんかと思う程、火を吹いてる様な熱さと痛みに呻く。。
あんまり「痛い。」とか言わないあたしが、「あ痛ッ…くぅ~、痛い…。」と泣き言が出た。
とにかく身体の向きを変えるだけでも痛かった。
しかも武田病院は恐ろしく古い建物で、なんとベッドにリクライニング機能が無い。
足元のハンドルをグルグル回してベッドを起こす今時化石レベルの手動式!
「トイレ行くならナースコールで呼んで下さいね。起こしに来ますから。」
看護師さんはそうは言ってくれるけど、トイレ行くのにいちいちナースコール呼ぶのは気が引ける。
あたしはこういうのが無茶苦茶苦手なのだ。
オマケに点滴してるせいで、やたらトイレ近いし。
ベッドの手すりを掴んで、うんしょこらしょ、あ、痛てて…。と20分位掛かって身体起こしてた。
なのに、なのに、10年後またその痛い手術を受ける訳?
言うといてくれよ~、Dr.松 ~。
心の準備っちゅーもんがあるやろが。
同じ病室だったS さんに
「聞いてぇっ!こんなん言われた!10年毎に手術せなアカンかも。」
って愚痴をこぼしたら、
「山田さん。きっと10年後はもっと良いシリコンが開発されて、手術の方法ももっといいのが出来てるはずです。」
ホンマやっ!
なるほど!
確かに!
ありがとう!S さん !
目からウロコ。
持つべきものは乳癌仲間である。
さ、検査も終わった。
結果は1週間後。
さて、如何に。
これでやっぱり肺に転移してました…やったらひっくり返るな、しかし。
絶対にこう言う。
「ありゃ。」