東京進出。

アニキがInstagramで発表した。

4月からアインシュタインは東京進出すると発表した。

発表した。
発表、した。

ファンの人のコメント読んでたら
「おめでとうございます。」
「淋しいけど、頑張って下さい。」
「東京行っても何処行ってもずっと応援します。」

もの凄く物分かりが良くて、大人で、殊勝で。
応援コメントばっかりで、ちょっとびっくりした。

昔と違って、東京進出すると言っても、しょっちゅう大阪にも帰って来るし、新幹線で何時間かの距離だし、何も変わらないとみんな言う。

アニキもそう言う。

でも。

変わるよ。
全然違う。

東京行った霜降り明星が、ミキが、和牛が、どれだけ大阪の舞台に立ってる?

激減する。

去年の今頃なら、月何十ステージと立ってた漫才劇場の舞台に、アインシュタインが4月に立つのはたった二日だけ。

そういう事だ。
京進出するってのは。

その数少ない大阪での舞台を巡って、チケット争奪戦が起き、今まで取れてたチケットだって取れなくなる。

実際、4月の超よしもと漫才ライブのチケットは落選した。

今までこの手の舞台は、プレミアム会員ならほぼほぼ取れてたのに。

チケットよしもとのマイページで、抽選予約結果の〝落選〟の2文字見た時に、「あ~、東京進出するってこういう事なんや。」と、もの凄く実感した。
(結局その後コロナウィルス騒動でキャンセルが出たのか、一般販売で取れたが。)

アインシュタインが計画していた3/24~の芸人何組かで行く韓国旅行。

コロナウィルス騒動の影響で、国内旅行に切り替わり、結局それも中止になった。

こういう類は、無茶苦茶行きたいけど、本人に直接会う勇気が持てないあたしは、指をくわえて見て来た。

でも東京行ってしまったら、もうずっと何年もこんな企画は通らない。

アニキが「この日空けといて下さい。」と匂わせてから、スケジュール帳に〝アインシュタイン〟と書いて横棒引いた。

当たるかどうかなんて分からないのに、一人で参加する勇気は持てなくて、カジサック好きの友達の子供に頼み込み、一緒に行ってもらう算段までしていた。

結局それも泡となったけれど。

いつか絶対また企画します。とは言うけれど、そんなのどうなるか分からない。
大阪発着じゃなくなるやろうし。

当選確率を上げる為、今年に入ってからは、劇場公演のチケット取るのをずっと控えていたのに。
こんななら、もっと2月末まで目一杯チケット取れば良かった。

コロナウィルスめ。

アインシュタインにとって、東京進出はずっと追い掛けてた夢であり、目標だ。

本当なら、一昨年くらいに東京進出したかったはず。

大阪での仕事の調整なのか、漫才劇場の興行成績との兼ね合いなのか、理由は一つでは無いだろうけど、なかなか実現出来なかった夢が、やっと叶う。

心の底から「おめでとう。」と言えるのが本当のファンなんだろう。

だったら、あたしはファン失格だな。

「おめでとう。」と言ってあげたい気持ちは勿論ある。

でも、〝おめでとう〟〝良かったね〟〝頑張って〟よりも、ずっとずっとずっと
「淋しい。」
「悲しい。」
「行って欲しくない。」
気持ちの方が大きい。

今の現状なら、3月一杯は劇場再開は難しいだろう。

東京行ってしまう前に、大阪の舞台でアインシュタインを見る事は出来るんだろうか。

コロナウィルスめ。
コロナウィルスめ。

寒い寒い風に晒されながら、トラクターを運転してる時。
草刈り機で跳ね返った石で耳を切った時。
熱中症になって田んぼの畦で嘔吐した時。

なんでこんなしんどい事してるんやろう…って、ボーッと無駄に時間が過ぎる。

あたしのやってる事は、誰かの役に立ってるんやろうか?
どこまで続けていけるんやろう…。

しんどい時、気持ちが上がらない時。
現実逃避する為に思い浮かべるのは、劇場の椅子に座ってる自分だ。

今はしんどいけど、あと何日経ったら劇場行って、アインシュタインに会える。

そう思う事で乗り切れた日が何日もあった。

なんだかよく分からないけど、もの凄く一人ぼっちな気がして、堪らなく淋しい時。

超絶方向音痴のあたしは、どっちの方角がなんばなのか分からないまま、多分こっちやろうって見当付けながら、
〝この地面の続きにアインシュタインが居てる〟と思う事で安心出来た。

東京なんて、どっちの方角かどころか、何処にあるのが正しい位置か、分からない。

遠過ぎて実感出来ない。

一年かけて、〝来年アインシュタインは東京行く。〟と呪文の様に唱えて慣れる努力を続けて来た。

アニキのInstagramを読んだ時、割と平気で冷静で居られる自分に、努力は無駄じゃなかったと思った。

でもでも、こうして時間が経って、夜が深くなったら、やっぱりやっぱり淋しい気持ちが勝手に大きくなって、対処に困る。

これを書きながらボロボロ泣いてるあたしは、ただの聞き分けのない子供だ。

50も過ぎて。
自分でも呆れる。

東京行ってもアインシュタインはみんなに愛されながら、活躍の場を広げて、テレビにルミネの舞台に大忙しになるだろう。

1年経って2年経って、東京の美しい街並みに多分二人はあっという間に馴染むんだろう。

たまに帰る大阪のゴミゴミした感じを居心地悪く感じる程、東京に慣れて行くんだろう。

闘いの場を移した。

それが東京だった。

ただそれだけの事。
そうそれだけの事。

『頑張って来て下さい。応援してます。』って笑顔で言えるのが正解で
『淋しい。行って欲しくない。』は
正解じゃないのか。

ファンの数だけ、それぞれ正解はある。


また少し、アインシュタインが遠くなった。