〝逃げ恥婚〟の衝撃。
「ええっ!」
「マジでっ?」
「いつからデキてたん?」
「そんな噂あった?」
「また来たサプライズ婚!」
ああ~、びっくりした。
びっくりしたけど、お似合いだし、世間からの祝福度もきっと無茶苦茶高いに違いない。
それだけ〝逃げるは恥だが役に立つ〟は、視聴率も好感度も高いドラマって事だったんだろう。
うちのバイトの20代の男の子が、休憩から戻って来るなり、「ガッキーが星野源と結婚しました。」と報告して来た。
そのニュース自体にも無茶苦茶びっくりしたけど、普段あたしとあんまり喋らないバイト君が喋って来た事にもっとびっくりした。
レジに入ってると私語を交わす暇は無いし、休憩も全員時間をずらしてるので、元々世間話する暇があんまり無いのだけど、54歳のおばさんに話し掛けられても困るかと、あたしから仕事以外の話を振る事はほとんど無い。
なのに、そのバイト君は続けてこう言った。
「スマホ開いたらニュース流れて来てて、もうホンマにガッキーの結婚ショックなんです。」
「この後帰ってもいいっすか?」
「………………。」
「帰んなよ。」
結婚したい芸能人ナンバーワン。
彼女にしたい芸能人ナンバーワン。
これってキャッチフレーズでも無く、ホンマのリアルなんやとうちのバイト君から教えてもらった。
そして、先週から新入社員の○橋君にメディアの作業の研修をしている。
○橋君はとにかく真面目。
そして、恐ろしく要領が悪い。
これは今の若い子に共通してるのだけど、何もかもがゆっくりなのだ。
例えば…。
床に置いた箱からロックンに入ったCDを取り出して解除キーでロックンを外す作業。
一枚一枚床の箱から取り出して外すのだ。
あたし「箱からまとめて取り出して外した方がよっぽど早いやろ?いちいちしゃがまんでもええし。」
○橋君「ええ?ああはい。」
防犯シールを貼ってラップロールで巻いてから値札シールを貼る作業。
○橋君は、1個手に取り、ラップロールで巻き終わって、POSで値段調べて値札シールを貼る。
そして、また次の商品を手に取る。
あたし「全部ラップロールで巻き終わってから、まとめて値段調べて貼って行った方が早いやろ?」
○橋君(きょとん。)「ああ、はい。」
万事が万事この調子なのだ。
疲れる。
イライラして言い方がキツくなるのを必死で我慢してるのだけど、年々根気が無くなっていってるのか、無茶苦茶疲れる。
そして、○橋君大柄なのだ。
大柄なのにやたら距離が近いのだ。
圧が凄い。
あたしの言う事を聞き漏らすまいとするのか、ピタッと寄って来る。
「近いねん。」
この一言が言えないストレスにじわじわやられている。
疲れた。
おっと。
濱家君がコロナウイルスに感染してしまった。
落ち込んでるんやろなぁ…。
症状軽いと良いけど…。
全力で走って来たし、身体休める機会と捉えて、しっかり休養して下さいまし。
お大事に。